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「夏に補強できなかったら…」現地メディアがプレミアリーグ20クラブの現状戦力分析!【ビッグ6・前篇】

「BBC」のスタッツ分析のスペシャリストであるクリス・コリンソンさんが、興味深い戦力分析を行っています。題して「Which Premier League squads need work in the transfer window?(プレミアリーグのどのスカッドが、トランスファーウインドウで動かなければならないのか?)」。コロナウイルスの蔓延によって92試合が中止となり、マッチデー収入を失ったクラブは緊縮財政を強いられています。将来の見通しが立たず夏に補強ができなかったとき、現在のスカッドで充分戦えそうなクラブと、いくつかのポジションに明確なリスクがあるクラブに分かれるのではないか?というのが、この企画の問題意識です。さっそく、プレミアリーグのビッグ6について、レポートを追いかけてみましょう。

記事には、それぞれのクラブの選手名が記されたマトリクスが添えられています。縦軸は年齢、横軸は出場時間の割合です。マトリクス上には6つのボックスがあります。年齢のほうは「24歳以下」「24歳~30歳」「30歳以上」と3つに切られており、出場時間の割合は「50%以上=ファーストチーム(レギュラー)」「50%以下=スカッド(サブ)」。3×2に分割されたエリアのどこに何人が配されるかを見れば、それぞれのクラブの強み・弱みが見えてくるという趣向です。

ポイントは3点でしょう。「30歳以上のレギュラーが多いチームは、ピークを過ぎた選手のパフォーマンスが落ちるリスクがある」「U-23が多ければ、伸びしろが期待できる」「スカッドの枠に、負傷で出番を失ったワールドクラスがいるクラブは、次のシーズンは戦力UPが期待できる」。プレミアリーグで優勝を争う6つのクラブを見てみると、「30歳以上のレギュラー」の枠が空っぽなのはリヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドだけです。

悲願のプレミアリーグ初優勝を目前にした最強クラブは、6月に30歳のバースデーを迎えるヘンダーソン以外はレギュラー全員が20代。ジョー・ゴメスとアーノルド以外は26~29歳に収まっており、2020-21シーズンはこのメンバーで戦うラストイヤーとなるかもしれません。出場時間が30%以下に留まったなかで良化が見込めるのは、南野拓実、マティプ、ナビ・ケイタあたりでしょうか。コリンソンさんは「チームの構成には何の心配も要らない。9人のファーストチームプレーヤーはキャリアのピークと考えられる」と絶賛しています。

過去2シーズンでたった2敗しかしていないリヴァプールの最大の懸念は「キーマンの負傷」でしょう。サラー、フィルミーノ、マネの3トップとアーノルド&ロバートソンという世界最高のSBコンビ、中央のファン・ダイクとその後ろのアリソンが健在なら優勝候補最右翼。ひとりでも長期離脱があれば、崩れずともドローが増えるのではないかと思います。力を発揮できずにシーズンを終えそうなサブの選手たちの奮起と若手の台頭があれば、クロップ王国の繁栄はしばらく続くものと思われます。

レッズと同様に、30代のレギュラー枠に誰もいないマンチェスター・ユナイテッドは、先発メンバーの平均年齢が24.8歳とリーグ最年少を記録しています。リンデロフ、マルシアル、アンドレアス・ペレイラ、ラシュフォード、マクトミネイ、ダニエル・ジェームズ、ワン=ビサカ…ぎりぎりで50%を切ってしまったルーク・ショーを加えれば、レギュラークラスは8人が25歳以下です。スカッドの枠にも、錚々たる顔ぶれが並んでいます。ブルーノ・フェルナンデスは、来季が初めてのフルシーズン。7試合しか顔を出せなかったポグバ、絶賛売り出し中のグリーンウッドもチームの伸びしろです。スールシャール監督が戦術構築と用兵を間違えず、今季のような野戦病院化を回避できれば、来季はTOP4フィニッシュを決められるのではないでしょうか。

30代のレギュラーがウィリアンのみだったチェルシーも、補強がなくても楽しみなチームです。主力として活躍したタミー・アブラハムとメイソン・マウント、ブレイク途上のリース・ジェームズとフィカヨ・トモリ、プレミアリーグ2年めのフィット感向上が見込めるクリスティアン・プリシッチは全員22歳以下。ハドソン=オドイとビリー・ギルモアの10代コンビには、大ブレイクを期待したくなります。彼らのリスクは、ランパード監督が気に入っていない左SBとGK、ジルーやペドロが抜けた際に問題となる前線の層の薄さです。ここまでのプレミアリーグ出場ゼロのロフタス=チークという「補強」で得点力はUPしそうですが、エースが抜けた穴を埋めるのがバチュアイだけでは厳しいのではないでしょうか。

「BBC」のプレミアリーグ20クラブの現状戦力分析より、来季に向けて期待が高まる3チームを紹介しました。長くなりましたので、リスクが高い3つの強豪については、後篇でチェックしたいと思います。


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