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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

政府はOK、しかし…中立地開催案が頓挫したプレミアリーグ再開計画は、未だ課題山積!

3月から中断されているプレミアリーグ2019-20シーズンについて、昨日、3つの大きな動きがありました。ひとつめは、イギリス政府が6月1日以降の開催に許可を出したこと。これがなければ、プレミアリーグはフランスと同様に中止に追い込まれていたはずです。ロックダウン緩和に関するガイドラインの下で再開可能となったことで、リーグ関係者とクラブの代表によって開催された昨日の会議は、シミュレーションではなく「具体的にどうするのか」が語られるリアルな議論の場となりました。

2つめは、「ニュートラルの会場で開催」という既定路線が見直しとなったこと。これについては、残留争いを展開するワトフォード、アストン・ヴィラ、ブライトンなど6クラブが「ホームで戦うアドバンテージを部分的に失うレギュレーションはフェアではない」と以前から反対していました。残りのホームゲーム5試合のうち、4つがビッグ6との対戦となるブライトンにとっては、ニュートラルのほうがむしろ有利なのではないかと思いましたが、ヴィラパークでのゲームを6つも残している古豪が納得できないのはよくわかります。

「スカイスポーツ」によると、プレミアリーグにおけるホームチームの勝率はアウェイに比べて14%高いとのこと。無観客試合であっても、移動時間の短縮や慣れた環境で戦えるメリットは大きく、難敵続きのブライトンでも「アメックスでやれるなら、リヴァプールやマンチェスターの強豪相手でも勝つ可能性はある」といったポジティブなマインドを持てるようです。プレミアリーグのリチャード・マスターズCEOは、「できるなら、誰もがホームでプレイするのを好むだろう」とコメント。今後はあらためて、ブンデスリーガが先行して実施しようとしているホーム&アウェイでの開催も含めてあらゆる可能性が議論されることになります。

最も重い課題は、「リヴァプールのプレミアリーグ初制覇が決まった瞬間、アンフィールドの周辺に感極まったサポーターが大挙して押し寄せる」といった危険な状態をいかにして回避するか。会議で確認されたのは、「ニュートラル開催なら、これらのリスクが軽減されるという根拠はない」ということです。

3つめの大きな動きは、「今回の会議で初めて、プレミアリーグ2019-20シーズンのキャンセルの可能性が語られたこと」です。「BBC」によると、リチャード・マスターズCEOは、「当然、シーズンをクリアするのがわれわれの目標だが、すべてのオプションについてクラブと話し合うことが重要だ」と語っており、2019-20シーズンを終えられなかった場合の損失については「10億ポンド(約1330億円)は下らない」と試算しているそうです。

シーズン中止について意見交換がなされたのは、状況が悪化したわけではなく、政府の許可が下りたことによって諸々の可能性が現実味を帯びたと解釈するのが妥当でしょう。再開かキャンセルかの二択ではなく、「再開後にトラブルが発生した場合のキャンセルの可能性」までが視野に入ったのだと思われます。5時間に及ぶ議論でクラブ間の合意に到達したのは「今季で契約満了のプレーヤーは、シーズン終了まで契約を延長できる」という1点のみでした。

現在は、メディカルのプロトコルについて改善を重ねている段階であり、集団で実施するトレーニングに安全に復帰する方法も、スタジアムに集まるサポーターに対する警察の対応も、確立されるのはこれからです。「BBC」や「スカイスポーツ」のレポートの要約として、「2020年5月11日、プレミアリーグは、2019-20シーズンの再開に向けてリアルな1歩を踏み出した」とだけ記しておきたいと思います。すべては、これからです。


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