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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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獲得できればプレミアリーグ&CLの両立に前進!王者レスターが狙う2人の即戦力に注目!

頭も心も、ようやくサンシーロから帰ってきました。マドリードダービーとなったチャンピオンズリーグ決勝は、両チームの選手が次々と足をつる壮絶な一戦。1-1のままPK戦となると、3人めのキッカーとして登場したガレス・ベイルは、足を振り抜いた瞬間につっていました。最終的に勝敗を分けたのは、PK戦に入り込めていなかったオブラクと、キッカーとの駆け引きができていたケイラー・ナバスの差だったと思います。アトレティコ・マドリードのGKは、コースを読んで思い切って飛ぶことも、フェイントで相手のキック選択を迷わせることもできず、中途半端なセービングに終始してしまいました。

レアル・マドリードが1-0とリードして折り返した後半開始直後にフェルナンド・トーレスがもらったPKを、グリーズマンがクロスバーに当てずに決めていれば、EL決勝のリヴァプールとセビージャ戦のように追いついたチームが勢いに乗っていたかもしれません。とはいえ、ゲーム全体を俯瞰してみれば、モドリッチ、ベイル、トニ・クロースのキックが冴えていたジダン監督のチームの勝利は妥当だったと思います。印象的だったのは、ヤニック・カラスコに同点ゴールを決められる直前のレアル・マドリードの攻撃です。相手のビルドアップが余裕を欠いたのを咎め、敵陣で2つ3つとインターセプト。クリスティアーノ・ロナウドのシュートはオブラクに、GKをかわしたベイルのシュートはゴールラインまで引いていたサヴィッチに止められましたが、前でボールを奪取して仕掛けるシンプルなショートカウンターこそ、ペップ流ポゼッションサッカーに取って代わった現在のメインストリームだとあらためて感じました。

プレミアリーグで優勝したレスターのサッカーは、スペースを埋めるべく陣形を下げていたため、結果的にボールを奪う位置が後ろになることが多かったものの、岡崎慎司やエンゴロ・カンテのところで引っ掛けてすかさずヴァーディ、マフレズへという攻撃が本戦。スペインの強豪のように前でボールを奪う機会がさらに増えれば、チャンピオンズリーグでもおもしろい存在になりそうですが、頼みのカンテが出ていきそうな雲行きです。このオフの補強のテーマは、プレミアリーグとCLを両立できる選手層の構築、主力の引き留め、スペースを埋めつつカウンターを仕掛けられる中盤のタレントの確保、そして前線の得点力の増強でしょう。レスターが、「カンテの相棒もしくは後釜」として狙っているのは、2014-15シーズンまでストークでプレイしていたスティーヴン・エンゾンジです。セビージャ移籍した1年めは、リーガ・エスパニョーラで28試合3ゴール。ヨーロッパリーグ優勝にも貢献したフランス人MFは、プレミアリーグに戻りたがっていると報じられています。

イギリスメディア「デイリー・ミラー」によると、レスターが出した1800万ポンド(約29億円)のオファーはセビージャが拒否したとのこと。EL王者は、バイアウト条項の2100万ポンド(約33億8000万円)の線は譲らないようです。彼なら、カンテの穴を埋められるでしょう。シャキリ、アフェライ、ヴォルシャイト、グレン・ジョンソンと大幅な戦力UPを実現したストークがプレミアリーグ9位と順位を上げられなかった理由のひとつは、ウィーランには攻守ともにクオリティが高いエンゾンジの代役は荷が重かったからだと思います。ラニエリ監督は次のオファーを検討中のようですが、マンチェスター・ユナイテッドなどに横からさらわれないようにしないといけません。

そしてもうひとり、レスターが1月から地道に交渉を続けていた選手がいます。「ESPN」が報じた移籍金2300万ポンド(37億円)は、実現したらクラブレコード。ナイジェリア代表FWアーメド・ムサは、CSKAモスクワ時代の本田圭佑を追いかけていた方にはなじみのある名前ではないでしょうか。日本のメディアは、日本人選手がいるチームに獲得報道があるたびに「本田のライバルか?」「香川真司ピンチ!」などと煽りますが、その多くはポジションや役割が違う選手で、記事を読んでがっかりすることもしばしば。しかし、今回のムサが決まれば、岡崎慎司はピンチでしょう。CSKAのロシアプレミアリーグ優勝に貢献したストライカーは、今季公式戦44試合18得点6アシスト。本家プレミリーグで5ゴールだった岡崎慎司よりも得点力、個人打開力とも上回っており、イングランドにスムーズになじめれば、ヴァーディの横はムサでしょう。

CSKAモスクワのレオニード・スルツキー監督は、レスターからオファーがあったことを認めており、本人も「レスターとは1月から交渉してきたけれど、移籍は実現しなかった。もしも、クラブ同士が合意してくれたら、喜んで移籍するよ。交渉完了を待っている」と乗り気です。レスター優勝の陰の立役者といわれたスカウト部門の責任者、スティーヴ・ウォルシュ氏のレーダーにかかった2人は、無事に獲得まで漕ぎ付けられるでしょうか。これらの商談が成立すれば、プレミアリーグ王者の攻撃力は間違いなく上がります。(スティーヴン・エンゾンジ 写真著作者/Ronnie Macdonald)

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