偏愛的プレミアリーグ見聞録

この時期、リヴァプールが電光石火の新戦力獲得を発表するのは、もはやプレミアリーグの恒例行事です。2018年のターゲットは、モナコのブラジル代表MFファビーニョ。サラー、フィルミーノ、マネの速攻に勝るとも劣らないセンセーショナルな移籍劇が、現地メディアの見出しを飾りました。「スカイスポーツ」によるとリヴァプールが支払う移籍金は3930万ポンド（約56億円）。オプションを入れると、最大で4370万ポンド（約62億5000万円）になる契約です。マンチェスター・ユナイテッドという噂があった24歳は、「6番、8番、2番ができる選手。クールだね」とクロップ監督が語るように、右SB、アンカー、インサイドMFを自在にこなす貴重なタレントです。

ブラジル人ながら、2011-12シーズンのプロ契約はポルトガルのリオ・アヴェ。ここでは出番がなく、レアル・マドリードのBチームであるカスティージャにレンタル移籍すると、2012-13シーズンはレアル・マドリードでプレイすることになりました。レギュラー奪取を期待されたものの、カルバハルの壁は厚く、ラ・リーガ出場はわずか1試合。2013-14シーズンにはリオ・アヴェからモナコにレンタルされ、ここでファビーニョのキャリアは開花します。最初の2シーズンは、右SBとしてリーグアン62試合1ゴール。2015年5月にモナコに完全移籍すると、セントラルMFにコンバートされ、3シーズンでリーグアン104試合22ゴールという数字を残しました。2016-17シーズンには、モナコのリーグ制覇に貢献。PKのスペシャリストで、22発のうち17発までを12ヤードでゲットしています。

188センチの長身で、フィジカルの強さはプレミアリーグ向き。7月1日からリヴァプールのファーストチームに合流することになったファビーニョは、「ずっと望んでいたこの移籍に、とても興奮している。ビッグクラブだからね。ここで自分の歴史を作り、タイトルを獲得したい」とテンションを上げています。エムレ・ジャンがチームを去るといわれているレッズにとって、最高のチョイスなのではないでしょうか。ミルナーを無理使いしないクロップ監督は、ナビ・ケイタ、ファビーニョ、ヘンダーソン、チェンバレン、ワイナルドゥムを中心に、新チームの中盤を構築していくことになりそうです。

さらに補強を進めたい懸案のポジションは、ウイング、左SB、GKです。ララナがトップフォームを取り戻せず、チェンバレンしか代役がいないウイングは、噂のフェキルやトマ・レマルなどの即戦力を入れたいポジション。ロバートソンのバックアッパーには、昨季も結局パッとしなかったアルベルト・モレノではなく、新たな可能性を求めたいところです。ワールドクラスのGKは必須。CBはマティプの復活とジョー・ゴメスのブレイクに期待し、スタリッジやマルコヴィッチをうまく売れれば、最前線にもう1枚足すというオプションもあるかもしれません。レンタル先で結果を残せないオリギも、そろそろ諦め時でしょうか。プレミアリーグ制覇をめざすクラブは、課題とターゲットが明確です。

ファビーニョ獲得、素晴らしい！彼の加入で、攻守の切り替えと中盤のさばきのスピードは、さらに上がるのではないかと思います。次のニュースはGKでしょうか。来季のレッズが、今から楽しみです。（ファビーニョ　写真著作者/Вячеслав Евдокимов）

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