偏愛的プレミアリーグ見聞録

アリソンがビッグセーブを連発しようと、オブラクの失点がどんなに少なかろうと「ダヴィド・デ・ヘアがNo.1」と信じる私にとって、レアル・マドリードの動きが気になる夏はドキドキのシーズンです。彼がいなければ、マンチェスター・ユナイテッドのプレミアリーグ2位フィニッシュはありえなかったでしょう。「オブラクが1億ユーロなら、デ・ヘアは2億じゃ。獲れるもんなら獲ってみい、こら、ペレス！」とひとりごちつつ、狼の影に怯える羊のような気分で灼熱の季節をやり過ごすのが常であります。

リヴァプールやレアル・マドリードがGKをほしがっているといったゴシップをチラ見しながら、今年もイヤな季節が始まったぜと、落ち着かない日々を過ごしていたのですが、この話の着地次第で、久しぶりに心安らぐ夏を過ごせるかもしれません。チェルシーが、ティボー・クルトワとの契約延長を断念したようです。ニュースソースは「スカイスポーツ」。チェルシーとの契約が残り1年となったプレミアリーグ屈指の守護神は、「チャンスがあれば、スペインに戻りたい。簡単じゃないけどね。僕の心はマドリードにある」「来季、どこでプレイするのかがわかるのは、ワールドカップが終わってから」と、移籍を匂わす発言を繰り返してきました。「スカイスポーツ」は、クルトワ獲得の有力候補はレアル・マドリードとパリ・サンジェルマンで、エースGKを失うチェルシーはローマのアリソンに照準を合わせると報じています。

このニュースは、リヴァプールにとっても朗報になりえるのではないでしょうか。ユルゲン・クロップと経営ボードは、チャンピオンズリーグ決勝でロリス・カリウスが無難にプレイしていれば、新しいGKの獲得は考えなかったのではないかと思います。アリソンやオブラクが獲れれば最高ですが、降って湧いたような7000万ポンドを超える投資は、確実に他のポジションの補強に影響を与えます。そんななかで、レアル・マドリードがクルトワを手に入れると…。ケイラー・ナバスは、金額的にも状況的にも、今のレッズにぴったりはまりそうです。

3年前、デ・ヘア獲得寸前までいったスペインの名門は、見返りにケイラー・ナバスを差し出そうとしていました。当時、1500万ユーロ（約19億2000万円）といわれていたGKは、CL準決勝のバイエルン戦でビッグセーブを連発するなど素晴らしいパフォーマンスを披露していますが、31歳になった今、移籍金が極端に跳ね上がることはないでしょう。ワールドクラスのGKを巡る盛大なビリヤード大会が繰り広げられるなか、プレミアリーグで最もGKに頭を悩ませているクラブが、望外の上玉をポケットに収める可能性はなきにしもあらずと妄想しておりますが、いかがでしょうか。

話は戻って、クルトワです。2011年のチェルシー入団以来、プレミアリーグ2回制覇、リーグカップとFAカップ優勝はそれぞれ1回。イングランドで得られる喜びはひととおりゲットし、欧州戴冠をめざしたいGKにとって、ELに出場するクラブとCL4連覇をめざすクラブを天秤にかければ、答えは明確ということなのかもしれません。スペインに行かれるなら、私の心身の健康のためにもワールドカップ前に決めていただきたいのですが、ローマが大会が終わるまでは動かないようで、GKフェス開催まで6週間ほど待たなければなりません。

果報は観て待て、しばしロシアの喧騒に身をまかせ、「David De Gea to leave Man Utd for Madrid…」といった見出しに崩れ落ちる悪夢を見ずにすむ生活を愉しもうと思います。ペレスさん、レアル・マドリードの3連覇おめでとうございます。いやー、相変わらず素晴らしいクラブですね。えと、デ・ヘアは、もういいですよね…？

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