偏愛的プレミアリーグ見聞録

「ええっ！よりによって、そこですか!?」。プレミアリーグの開幕戦で、ブライトンにホームで1-2という苦しいスタートとなったマンチェスター・ユナイテッドが、前線と中盤の補強を急いでいると伝えられています。元より課題となっているポジション。テン・ハフ監督のスタイルに合った選手を押さえてほしいのですが…。

マルコ・アルナウトヴィッチとアドリアン・ラビオ!?

2人とも、お騒がせキャラじゃないですか。ウェストハムとストークでプレイしていたアルナウトヴィッチが、昨シーズンのセリエAで33試合14ゴールという素晴らしい数字を残していることは知っています。若かりし頃は悪童といわれながら、30歳を過ぎてからはリーダーとして若手を指導する役割を担っているとも聞いています。

それでも、頭に血が上りやすい性格はなかなか変わらないようです。32歳だった1年2ヵ月前、オーストリア代表として出場したユーロ2020では、北マケドニア戦でアリオスキを挑発し、キャプテンのダヴィド・アラバに叱責されるという事件がありました。ドレッシングルームから派閥を排除すると宣言したテン・ハフ監督にとって、チームマネジメントを難しくする可能性がある選手です。

一方、ユーヴェのアドリアン・ラビオも、フランス代表での処遇に不満を抱き、デシャン監督を批判するなど問題児といわれていました。母親で代理人のヴェロニクさんが、これまた強烈で、ユーロ2020のスイス戦では不甲斐ないプレイに終始したポグバとムバッペに激怒。スタンドにいた彼らの家族をなじり、警備員が介入するトラブルに発展させてしまいました。

「デイリー・メール」によると、マンチェスター・ユナイテッドはアルナウトヴィッチ獲得をめざしてボローニャにアプローチを開始。750万ポンド（約12億2000万円）のオープニングオファーは拒否されたそうです。契約期間が残り1年となったラビオの移籍合意を報じているのは、「マンチェスターイブニングニュース」。プレミアリーグのクラブは、1500万ポンドのオファーを2000万ポンド（約32億6000万円）に引き上げ、イタリアのクラブを納得させたそうです。

アルナウトヴィッチは、移籍金の積み増しをすれば着地する可能性あり。ラビオのほうは、母親のヴェロニカさんが難関と伝えられています。それにしても、安いですね。昨季セリエAで、MFのなかで最も先発が多かった27歳が2000万とは…。わけあり価格なのか、ポグバ感謝セールと受け取ればいいのか、判断に迷います。

2人とも「全然問題児なんかじゃなくて、純粋なだけなんだよ！」という説もあるので、先入観は排除するとしても。「キャプテンにあらずんばガナーにあらず」的なアルテタ＆エドゥのリーダーシップ採用がキラキラ輝いてみえます。ピッチとロッカーで起こした事件を数えると、アーセナル（ただしジャカは除く）を全員足しても、アルナウトヴィッチwithラビオが圧勝してしまいそうです。

ベテランのストライカーでもOKなら、なぜオーバメヤンにいかないのか。フレッジとマクトミネイの守備が不安というなら、ルベン・ネヴェスやエンゴロ・カンテという選択肢はないのか。ラビオ合意の報を聞いた現地サポーターは、「なんてこった」「もう終わりだ」と嘆きの大合唱を始めています。

彼らを否定はしませんが、本気で勝ちにいくならもの足りない人選ではあります。アントニーを諦めた右サイドに、840万ポンドでツィエクという話もあるようです。全員合わせて、2600万ポンド!?　意中の選手を諦めたと報じられた直後に、安い選手がこれだけ揃うと、期待よりも不安が走ります。どうしたマンチェスター・ユナイテッド！安酒は銘柄を吟味しないと悪酔いするといいますが…!?　（マルコ・アルナウトヴィッチ　写真著作者/Granada）