偏愛的プレミアリーグ見聞録

多くのサポーターにとって、寝耳に水だった2人の新戦力獲得報道。マルコ・アルナウトヴィッチとアドリアン・ラビオにオファーと報じられたマンチェスター・ユナイテッドは、オーストリア代表のアタッカ―は諦めたようです。

「BBC」によると、彼らが断念した理由は、ボローニャが要求する移籍金が高額だったことと、サポーターからのクレームだそうです。いやいやいや、高額って、760万ポンドのオープニングオファーを拒否されただけじゃないですか。ここは、はっきりしましょう。「スカイスポーツ」は、ストレートに書いています。

「クラブOBとファンベースの総ツッコミを受けて、慌てて引っ込めた（意訳です）」

この件について、プレミアリーグ界隈で最もお怒りなのは、「BBC」で評論家を務めるクリス・サットンさんです。「こんな契約を考えるなんて、狂気だ」「だましかと思った。ばかげている」。マイカ・リチャーズも「いい選手だけど、本命を連れてきた後に、深みを加えてくれる存在として考えるべきだ。今、発表する選手ではない」といっています。

…ですよね。そう思います。デッドラインデー直前に、ビッグネームの獲得交渉が破談になったのなら理解できますが、クリスティアーノ・ロナウドのポジションのファーストチョイスではないでしょう。かつてプレミアリーグでプレイしていたときは、素晴らしい選手だと思っておりましたが、「ユナイテッドに必要な選手は、他に100万人いるだろう！」とサットンさんに怒鳴られたら、「すみませんでした！」と叫んでしまいそうです。

アルナウトヴィッチは、トゥエンテで一緒に働いたテン・ハフ監督がほしがったそうです。そんな話を聞くと、「なんで全員、テン・ハフ案件!?」とツッコミたくなります。リサンドロ・マルティネスはアヤックス、エリクセンもアヤックスでのリハビリがボスとの出会いで、タイレル・マラシアもエールディヴィジ出身です。

交渉が難航しているフレンキー・デ・ヨングも、獲得を断念したアントニーもアヤックスブランド。桃太郎のイヌサルキジみたいですね。余談ですが、イヌとサルはいいとして、キジの獲得は攻守ともに補強になっていなかったのではないでしょうか。ウマとかワシとか、スピードや攻撃力に長けたタレントを引き入れるべきでした。勝ったからよかったものの、負けていれば桃太郎TDの責任問題になっていたはずです。

話を戻しましょう。「スカイスポーツニュース」のレポーター、メリッサ・レディさんは、「クラブのリクルート部門のサポートが必要。もしかして監督は、提供された情報を信用してない？」と疑問を投げかけています。

「ユナイテッドにリクルート部門が存在すると聞いてうれしくなった。テン・ハフがトランスファーマーケットを仕切っているようにみえるから。彼らのターゲット、獲得した選手はすべて指揮官に由来している」

「テン・ハフは優れたコーチで、トレーニングのピッチでは素晴らしいけれど、スポーツディレクターでもスカウトでもない。世界じゅうのサッカー選手について、知識があるわけではなく、誰がベストな選択肢なのかわかっていない」

アルナウトヴィッチもさることながら、クラブ間合意が伝えられているアドリアン・ラビオも不評です。ジャーナリストたちのコメントをピックアップしてみましょう。

「ラビオの契約は成立すると思う。ただし、いい契約とはいっていない。彼は能力と姿勢の両面で、プレミアリーグに適しているかどうか確信が持てない」 （マーク・オグデン/ESPNシニアライター）

「彼は、昨日ユヴェントスに到着したわけではない。数シーズンいるのに、最適な起用法がわからない。アッレグリは、何度も使っているのに、いい方法を考えたことがないようにみえる。おそらく彼は、ボックス・トゥ・ボックスのMFで、マンチェスター・ユナイテッドの真ん中にいるフレッジを補完する人物として頼れるのかもしれない。結局、彼が得意なことをはっきりさせるのはとても難しい」（ニッキー・バンディーニ/スカイスポーツニュース）

「ラビオがマンチェスター・ユナイテッドの中盤の解決策と見なされているとしたら、とても驚くだろう。彼のどこが優れているのか、理解できていない.。素晴らしいMFを補完できるのかもしれないけど、アイデンティティを見つけるのに苦労しているようだ」（ミナ・リゾウキ/スカイスポーツニュース）

ラビオのストロングポイントがわかりにくいだけでなく、マンチェスター・ユナイテッドの意図が理解できないという話でもあるのでしょう。もしかして経営ボードは、「プレミアリーグの開幕戦で、いきなりブライトンに負けちゃって、みんな怒ってるから明るい話題を！」と焦りまくって、安い選手の獲得に走ったのでしょうか。締め切り3週間前なのに、まさかのパニック・バイ!?

であれば、心配は無用です。こういう負け方には、だいぶ慣れてきましたので…。