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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ラビオ、ガクポ、デ・ヨング…CLに出たい選手を獲り逃すマン・ユナイテッド、本質的な苦戦の理由。

あいつもCL、そいつもCL、どいつもこいつも口を開けばCL…!ああ、そうです。プレミアリーグで6位に沈んで、チャンピオンズリーグには出られませんけど、何か?ここ数日、マンチェスター・ユナイテッドの補強は、欧州最高峰の大会がもたらすさまざまな欲望に振り回されているように感じられます。

始まりは、3日前。ボローニャのマルコ・アルナウトヴィッチと、ユヴェントスのアドリアン・ラビオへのオファーが大々的に報道されました。プレミアリーグの開幕節、オールド・トラフォードでブライトンに敗れるというショッキングなスタートを切ったチームは、「テン・ハフ監督をサポートしなければ」「サポーターに期待感を抱かせなければ」とパニックに陥ったように見えました。

アルナウトヴィッチの獲得交渉は、クラブOBとサポーターの抗議によって、ろくに話をしないうちにクローズ。アドリアン・ラビオについては、パリ時代のクオリティを発揮できないMFを放出したかったユーヴェの懐が深く、1500万ポンドで合意に至ったと報じられました。

残すは、選手の契約条件合意のみ。ここで、忌まわしいCLが登場します。ラビオの母親であり、代理人でもあるヴェロニカさんは、590万ポンドだった息子のサラリーを850万ポンド(約13億8000万円)に引き上げようとしました。「CL出場を諦めるのだから、お金を払うべき」。なぜわれわれが、慰謝料みたいなお金を?

ヴェロニカさんは、愛するわが子を母国のモナコに移籍させようとしていたようです。昨季リーグアン3位で、CL予選のチケットを持っているチームが勝ち抜いてくれれば、問題はありませんでした。ところがモナコは、予選3回戦でPSVアイントホーフェンに2戦トータル4-3の敗退。八つ当たりのような賃金アップのオーダーが、マンチェスター・ユナイテッドにまわってきたというわけです。

今回のオランダVSフランスのCL予選は、プレミアリーグで巻き返しを図るクラブの他の案件にも影響を与えています。PSVのレフトウイング、23歳の逸材コーディ・ガクポ。「スカイスポーツ」がまとめたラシュフォードとのスタッツ比較を見ると、1試合あたりのゴール、アシスト、オンターゲット、チャンスクリエイトですべて圧勝している有望株です。

エールディヴィジの選手なので、テン・ハフ監督がほしがったといういつものアレでしょう。3500万ポンド(約57億円)を用意していたクラブは、またもやCLにぶっ叩かれました。モナコを倒したPSVは、プレーオフでレンジャースに勝てば本大会出場決定。昨季の公式戦で47試合21ゴール15アシストのヤングスターは、CLに出られるなら残留に傾くといわれています。

ラビオはCL、ガクポもCL、ロナウドもデ・ヨングもCL…プレミアリーグのTOP4からの転落は、かくも残酷なことなのかと嘆きたくなりますが、この話の本質はそこではないでしょう。最大の問題は、ディレクターの力量ではないでしょうか。情熱とヴィジョンがターゲットに伝わっていないために、クラブ間合意&本人NGという失態が続いているのだと思われます。

クラブにはあなたが必要だ、来てくれれば成長できる、今季はELだけどいずれビッグタイトルも獲得できる…。選手にとって魅力的な環境とプロジェクトがあれば、CLがなくてもサインしてもらえることは、ノースロンドンのブラジル人TDが証明しています。プレミアリーグの最強クラブから、ピークに差しかかっているワールドクラスを2人も押さえたのですから。

オフシーズンに入る手前から、代理人を通じたコミュニケーションで信頼関係を築き、選手サイドのOKを取ってから交渉となれば、移籍金を抑制することも可能になります。逆にいえば、いきなりアプローチして強引に口説くなら、CLや札束で頬を叩かなければならなくなります。

あちこちに声をかけているマンチェスター・ユナイテッドは、ザルツブルグのストライカー、ベンヤミン・シェシュコもライプツィヒ(CL…)に奪われました。アトレティコ・マドリードから獲得を打診されたといわれているモラタに手を伸ばすのか。ラビオに気前よくサラリーを出すのか。ジョン・マータフVSヴェロニカ…入団が決まっても破談となっても背筋が凍りそうなホラームービーは、暑い夏にはぴったりです。

トランスファーマーケットで苦戦が続くマンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソン、デヴィッド・ギル、ブライアン・ロブソンとジョン・マータフFDというメンバーで、クラブの課題について議論する委員会を結成したと報じられました。9年前にチームを去った元指揮官と元CEOは、今でも素晴らしいコンビであり続けられるのでしょうか。

最初のアジェンダは、有能なフットボールディレクターの獲得のような気もしますが…。(アドリアン・ラビオ 写真著作者/Вячеслав Евдокимов)


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