偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Why Liverpool rejected ‘easy’ Youri Tielemans, Kalvin Phillips and Yves Bissouma transfers（リヴァプールが、簡単に獲れるティーレマンス、カルヴァン・フィリップス、イヴ・ビスマを拒否した理由）」。2ヵ月ほど前に、「ミラー」が配信した記事のタイトルです。ファビオ・カルヴァーリョ、ダルウィン・ヌニェスに続いて、カルヴァン・ラムゼイを獲得した直後。クロップ監督は、新しいMFは獲得しないと決めており、夏のビジネスは終わったと伝えられていました。

キーラン・キング記者によると、3人とも代理人を通じてオファーがあったのに、レッズが拒否したとのこと。記事が挙げている理由は3つです。「若返りを図りたかった」「最初から高額のサラリーが必要な選手を獲りたくなかった」「その場しのぎの補強ではなく、長期的な視座に立った強化を進めたかった」。端的にいえば、プレミアリーグ経験があるMFたちより、1年後のジュード・ベリンガムを優先したということです。

ファビーニョ、ジョーダン・ヘンダーソン、チアゴ・アルカンタラ、カーティス・ジョーンズ、ハーヴェイ・エリオット、アレックス・オックスレイド＝チェンバレン、ジェームズ・ミルナー。全員元気なら、質・量ともに充分です。ところが、プレミアリーグの開幕が近づくにつれて、中盤の選手たちが続々とリタイアしてしまいました。

チェンバレンはハムストリング、カーティス・ジョーンズはふくらはぎ。ナビ・ケイタはコロナウィルスに感染し、コンディションを落としています。フラムとの開幕戦で苦戦したのは、ファビーニョ、ヘンダーソン、チアゴのベテラントリオがトップフォームではなかったからでしょう。後半開始直後の、チアゴのリタイアは激痛でした。ハムストリングを痛めたセントラルMFは、最短でも6週間は欠場するといわれています。

2ヵ月前に、「新しいMFとの契約がない状況に、ファンからは不満の声が挙がっている」と伝えた「ミラー」は、負傷者続出の現状をふまえて「即戦力を連れてくるべき」と提言しました。レポートのタイトルは、「Why Liverpool should make Youri Tielemans move to secure replacement for injured Thiago」。10ヵ月前に入社したトム・ブロー記者は、負傷したチアゴの代役として、ユーリ・ティーレマンスを押さえるべきといっています。

長期的な視点では、19歳のジュード・ベリンガムは理想的なプレーヤーですが、2022-23シーズンはドルトムントに残留すると本人が明言。スポルティングCPのマテウス・ヌネスは、5100万ポンドといわれる高額の移籍金がネックです。巷間で取り沙汰されているレッズのターゲットは、短期的な課題解決にはなりえないという記者は、レスターのMFならぴったりはまると主張しています。

「25歳の選手は、契約が11ヵ月しか残っておらず、2500万ポンドという低額で獲得できる可能性がある。プレミアリーグのトップ6以外では最高のMFのひとりと見做されており、世界を駆け巡るベルギー代表でもレギュラーとして活躍。ナイスパサーで、ゴールへの貢献度が高く、昨シーズンは7回ネットを揺らしている」

「クロップ監督のコーチングに染められる充分な若さがあり、安く手に入れることができれば、その価値は上がるはずだ。12ヵ月後に売却して利益を出し、ベリンガムの獲得資金に充てることもできるだろう」

「新たなセントラルMFとの契約に反対するリヴァプールファンの気持ちも理解できる。クロップはハーヴェイ・エリオットとカーティス・ジョーンズに出場機会を与えたいと考えているが、両者ともケガで苦しんでおり、リスキーだ。エリオットがセントラルMFなのかという疑問もある。クロップは、ウインガーとしても有望な19歳を、チアゴではなくモハメド・サラーの後継者にしようと決断するかもしれない」

アーセナルがポールポジションといわれ続けているセントラルMFは、レッズが本気で口説けば振り向くのでしょうか。ノースロンドンを選べばトーマスとかぶりますが、マージーサイドならナチュラルなターンオーバーのなかで主力として活躍できそうです。

いや、今回の話は、レッズの強化を追いかけてきた記者たちの提言でしかなく、実際にアクションがあったわけではありません。デッドラインデーが近づき、彼らが動いたら、いま一度レポートしたいと思います。おっしゃるとおり、クロップ監督のスタイルには、はまりそうですよね！