偏愛的プレミアリーグ見聞録

現地時間の1月28日10時。「スカイスポーツ」と、ファブリツィオ・ロマーノさんが違う見方を示しています。自らのInstagramで、「ブライトンに史上最高額の移籍金をもたらし、クラブの成功を継続させられることを誇りに思っている」「素晴らしい機会を逃せないと理解してほしい」と発信したモイセス・カイセドのお話です。

彼が移籍したがっているのは、クラブレコードとなるビッグマネーを提示したクラブ。ククレジャの移籍金より安い5500万ポンドのチェルシーではなく、6000万ポンドのアーセナルです。まずは、メディアのLiveブログに掲載されたレポートと、欧州の移籍市場に精通するジャーナリストのツイートを比べてみましょう。

「ブライトンは、MFモイセス・カイセドに対して、トランスファーマーケットが閉まる火曜日まで自宅で待機し、トレーニングに来ないように命じた。金曜日の夜、カイセドはソーシャルメディアに投稿し、クラブを離れたいという意志を明らかにした。ブライトンはカイセドに、このウィンドウで去ることはできない、売る気はないとはっきり伝えている」

「彼らは、アーセナルからの6000万ポンドのオファーとチェルシーの関心によってカイセドは混乱したと認識しており、残りのシーズンに向けて頭を整理してもらうために、数日間の休暇を与えた」（スカイスポーツ）

「モイセス・カイセドは今日のトレーニングに姿を見せず、即時退団を希望している。明日の試合（＝FAカップ4回戦のリヴァプール戦）も欠場する可能性がある。アーセナルは、昨日明らかになった6000万ポンドから、オファーを増額する見通し」（ファブリツィオ・ロマーノ）

メディアは「ブライトンは徹底抗戦の構え」と伝えており、ジャーナリストの表現は「渦中のセントラルMFはストライキも辞さず」というニュアンスです。「スカイスポーツ」の配信の40分後に、「ミラー」など複数メディアが同じ内容でフォローしており、シーガルズが21歳のセントラルMFを諫めたという話は事実のようです。

1月28日17時。「スカイスポーツ」が「デイリー・メール」の速報を引用し、「アーセナルが7000万ポンドのセカンドオファー」「ブライトンは8000万ポンドを要求」と配信しました。「ザ・サン」「イブニング・スタンダード」が追随し、「フットボールロンドン」は「カイセドを獲得しても、デクラン・ライスを引き入れる方針は変わらない」といっています。

ベン・ホワイトとトロサールのディールを成立させた2つのクラブのギャップは、1000万ポンド。何としてもトーマスのポジションを強化したいガナーズは、6500万ポンドにアドオン1500万ポンドといった3度めのオファーで、決めにいくのではないでしょうか。

はっきりいいましょう。8000万ポンドといえば、巷間伝えられるデクラン・ライスと同等のお値段です。カイセドは素晴らしいタレントですが、エクアドルで25試合、ベルギーで12試合、プレミアリーグ26試合の選手としてはあまりにも高く、ハイリスクな補強だと思います。ディールが完了したら、パニックバイと煽る記事が配信されるでしょう。

しかし今のアーセナルにとっては、取るべきリスク、価値あるギャンブルといえます。王者マン・シティに5ポイント差の首位となれば、勝負のシーズン。冬の強化を見送り、CL出場権を獲り逃した昨季の苦い思いを繰り返すわけにはいきません。

ヨーロッパリーグで優勝すれば、ラウンドごとのボーナスの総額で1560万ポンドをゲット。カイセドが5年半契約なら、単年の移籍金計上はこれで相殺できます。さらに順位傾斜配分があるプレミアリーグの放映権料、来季チャンピオンズリーグ出場による増収、ニースで23試合8ゴールのニコラ・ペペら余剰戦力の売却益などで、相当の額をカバーすることができます。

シーガルズが1億まで引き上げてくるなら、いさぎよく撤退し、5270万ポンドのバイアウト条項があるといわれるレアル・ソシエダのスビメンディなどに方向転換することになるでしょう。エドゥSDは、現状の溝をどう捉えているのでしょうか。「スカイスポーツ」の「チェルシーも関心を示している」というひとことが気になるのですが…！