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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

期待と不安が入り混じるビッグディール。デクラン・ライスは妥当か?カイ・ハヴェルツは必要か?

「ベン・ホワイトがブライトンから5000万ポンドで入団したとき、アーセナルのファンベースの多くは、高額の移籍金を憂慮した。同じ夏にマルティン・ウーデゴーアが3000万ポンドでサインすると、ジェームズ・マディソンをほしがった人々は嫌がった」

「アーロン・ラムズデールの移籍金2400万ポンドに対する不満はかなり大きく、GKはネットでひどい罵声を浴びせられ、脅迫のメッセージも届いた。昨年、最も注目の移籍でさえ、議論を引き起こしている。トータル7500万ポンドで獲得したガブリエウ・ジェズスとオレクサンドル・ジンチェンコは、一部のサポーターや識者からマン・シティから追い出された選手と嘲笑された」

アーセナルの近年の強化をリスペクトする記事を書いた「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、エドゥSDとアルテタ監督の船出がいかに厳しい目線に晒されていたかを振り返っています。彼らの補強に対して懐疑的な声が多かったのは、最初の2年をプレミアリーグ8位という冴えない戦績で終えたからというだけではないでしょう。

アーセン・ヴェンゲルの晩年とエメリの時代に繰り返された失敗の残像によるところも、大きいのではないでしょうか。ルーカス・ペレス、ムスタフィ、ムヒタリアン、ソクラティス、ルーカス・トレイラ、ニコラ・ペペ。インヴィンシブルズの一員として活躍したレジェンドが来るまでは、金額に見合わないパフォーマンスを非難されてチームを離れる選手が続出していました。

当時はTDだったエドゥが本格的な改革を始動させたのは、2020年の夏でした。ウィリアンは期待外れに終わったものの、トーマス・パーティーとガブリエウは大当たりです。翌年にベン・ホワイト、ウーデゴーア、ラムズデール、冨安健洋が加わり、TOP4争いに復帰。昨年はジェズスとジンチェンコを獲得し、レギュラーが揃えば首位に立てるチームになりました。

今回のデクラン・ライスとカイ・ハヴェルツのディールが3年前だったら、轟轟たる非難を浴びていたでしょう。「ウェストハムのMFにプレミアリーグレコードの1億500万ポンドは高すぎる」「カイ・ハヴェルツがなぜ必要なのか、わからない」と。今でも、高額の移籍金を訝しむ声はないわけではありません。

チェルシーに在籍した3シーズンで139試合32ゴールのドイツ代表は、8番、9番、10番のどこをまかせても満足いく答えを出せませんでした。ハマーズのキャプテンは、グリーリッシュ、ルカク、ポグバ、マグワイアという高額移籍金の上位のなかで、最も強みがわかりにくい選手です。中堅クラブの王様が、ビッグクラブで通用するのかというピュアな疑問もあるでしょう。

彼らの獲得を熱望したアルテタ監督のなかには、ティンバーやベン・ホワイト、ジンチェンコを中盤に寄せる3-2-4-1があるのではないかと想像します。4-3-3では「6500万ポンドのバックアッパー」になりかねないカイ・ハヴェルツも、2列めが4枚なら、ジェズスの後ろという居場所が見えてきます。

デクラン・ライスのストロングポイントは、昨季プレミアリーグでNo.1だったインターセプトと前線に送る長短のパスです。高額移籍金の選手にネガティブな声とプレッシャーは付きものですが、エドゥSDが連れてきたタレントたちの躍動を目撃したグーナーの多くは、期待感をもって受け止めているのではないでしょうか。

「BBC」のエムリン・ベグリー記者も、今回のビッグディールをポジティブに捉えています。カイ・ハヴェルツについて、「ハイレベルなフレキシビリティは、アーセナルは中盤と前線のオプションを増やすだろう」と評したレポートは、「ライスは(トーマスとジョルジーニョの)ペアよりボール奪取が多く、チャンスを作り、パスの精度も上回っている」と指摘しています。

ファビオ・ヴィエイラがフィットし、スミス・ロウが復活を遂げれば前線は盤石。ティンバーを確保し、中盤センターの層を厚くしたら、有能なスポーツディレクターは余剰戦力の売却に専念するのでしょう。新生アーセナルのAプランは、4-2-3-1か、4-1-4-1か、あるいは3-2-4-1か。プレミアリーグの頂点を視界に捉えるアルテタ監督のチームづくりに注目しましょう。


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