偏愛的プレミアリーグ見聞録

「BBC」には、現地メディアが配信する移籍ゴシップを集めたページがあるのですが、珍しくニッポンのメディアの記事が掲載されました。

「Urawa Red Diamonds and Japan goalkeeper Zion Suzuki, 20, has turned down a move to Manchester United. (Sponichi, in Japanese)」

浦和レッズの日本代表GK鈴木彩艶が、マンチェスター・ユナイテッドからのオファーを断ったという話です。これは、マジなネタですね。20歳のGKは、アンドレ・オナナのサブとしてベンチに座っていたら、目標としているパリオリンピックが遠のいてしまうと考えたようです。残念ではありますが、「BBC」に「Sponichi」が掲載されたという記録だけ残しておきましょう。

さて、そのマンチェスター・ユナイテッドは、ストライカー獲得と余剰戦力の売却という2つのテーマでメディアを賑わせています。ストライカーといえば、業界における目下の最大の関心はキリアン・ムバッペ。パリ・サンジェルマンが日本を訪れるプレシーズンツアーから外されたエースは、2億5900万ポンド（約470億円）で売りに出されていると報じられています。

「インディペンデント」は、パリの7番に関心があるプレミアリーグのクラブとして、チェルシー、マン・ユナイテッド、トッテナムを挙げています。あれだけ「金がない」と報じられているのに、インテルやバルサとともに名前を出していただいて光栄です。「そんな金があったら、ハリー・ケインにいってるわ！」というツッコミを呑み込み、笑ってスルーいたしましょう。

というわけで、ザイオンさんとムバッペさんはいわゆるツカミで、本題はここからです。ホイルンドの獲得交渉が難航しているマンチェスター・ユナイテッドは、余剰戦力の売却によってスカッドを厚くする資金を捻出しなければなりません。そんななかで昨日、「スカイスポーツ」が「ウェストハムと直接コンタクトを取った」と報じています。

ロンドンのクラブのターゲットは、スコット・マクトミネイとハリー・マグワイア。アーセナルに移籍したデクラン・ライスの穴を埋めつつ、最終ラインの安定を図りたいという趣旨でしょう。彼らの中盤強化の動きは停滞しており、ジョアン・パリーニャに対する4500万ポンドのオファーはフラムに拒否され、コナー・ギャラガーの4000万ポンドもチェルシーに断られています。

記事によると、マンチェスター・ユナイテッドはマクトミネイに4000万ポンドのタグを付けているとのこと。コナー・ギャラガーと同額は割高感があり、3000万の間違いかと思ったのですが、「ミラー」も4000万と報じています。交渉は初期段階ですが、サウサンプトンのウォード＝プラウズを2000万ポンドで買おうとしていたクラブの希望額とは、大きなギャップがあるようです。

レスターに8000万ポンドを支払ったハリー・マグワイアのほうは、レンタルも検討されているといわれていますが、完全移籍にしてもローンにしても高額のサラリーがネックになります。テン・ハフ監督の構想外なら歩み寄る可能性があるものの、両者ともに重要なメンバーと見做されており、マン・ユナイテッドは条件を緩和する気はなさそうです。

とはいえ、ハマーズに突破口は残されています。テン・ハフ監督は「選手の決断を尊重する」というスタンス。マクトミネイとマグワイアが移籍したいといえば、話をまとめるほうに力学が働くと見られています。ワールドクラスのCBは、それなりの出費になるので、「マグワイア残留」「マクトミネイはソフィアン・アムラバトとスイッチ」が現実的なラインでしょう。

あるポジションがダブつき、出番が激減する選手が出ると、残りの契約期間が短くなるにつれて売値は下がっていきます。この夏、チェルシーが断行した大量放出は大正解（その前の大量獲得は失敗ですが）。多少値崩れしても出すという判断も、時には必要です。ハマーズを蹴ったら次は来ないのではないかとハラハラしながら、マン・ユナイテッドの決断を待ちたいと思います。