偏愛的プレミアリーグ見聞録

5-3で勝ったバルセロナとのフレンドリーマッチは、サカとトロサールが圧巻でした。右サイドからカットインを繰り返すサカのゴールは、レヴァンドフスキにいきなり決められた後の13分。ベン・ホワイトのパスをカットしたクリステンセンのタッチが流れたのを見逃さなかった7番は、右足でニアポスト際にプッシュしました。

22分にPKを右に外してしまったものの、1-2となった43分にボックス右を突破。マルコス・アロンソのチャージを跳ね飛ばすと、右足で絶妙なクロスを中央に通しました。ウーデゴーアがヘディングで左に送り、カイ・ハヴェルツがプッシュ。2-2で始まった後半は、デクラン・ライスといつも一緒にいるトロサールが輝きます。

55分の決勝ゴールは、ボックス左手前で4人に囲まれても動じず、冷静にタイミングを計って左足で右のサイドネットへ。78分には、ティアニーの速いクロスを巧みにインサイドで合わせました。プレシーズンマッチで、左のインサイドでもフイットすると証明したベルギー代表は、間違いなく絶好調です。

「プレミアリーグの開幕を前に、2100万ポンドのワイルドカードを無視できなくなった」。トロサールを絶賛する「フットボールロンドン」のテイシャン・デニラン＝アレイン記者は、マルティネッリとカイ・ハヴェルツのどちらかがスタメンから落ちる可能性があると指摘しています。

バルサ戦でダメ押しのミドルを突き刺したファビオ・ヴィエイラと、復調したスミス・ロウの存在も、左サイドの人選を難しくしています。合流できていないジンチェンコのポジションは、ティンバーとティアニーがカバー。守備を重視したければ、予想より早く戻ってきた冨安健洋をまわすこともできます。

時間がかかりそうな負傷者と新たな退団がなければ、ガナーズの2023-24モデルは完成したといっていいでしょう。現有戦力の懸念は、ジンチェンコの出遅れとデクラン・ライスのふくらはぎの張りぐらいです。新戦力は必要なし。この後、30人を超えたスカッドを整理すれば、夏のトランスファーマーケットを退場できます。

ここからは、余剰戦力に関する最新情報をピックアップしましょう。サンビ・ロコンガは代理人がローマに売り込み、交渉スタート。バーンリーが獲得をめざしているという噂も流れています。ホールディングにはベシクタシュが210万ポンドでアプローチしているようで、プレミアリーグからより好条件の話がなければ、決まる可能性があります。

フォラリン・バログンにはインテルから3000万ポンド（約53億円）とアドオン430万ポンドのオファーがあり、5000万ポンドを主張するガナーズとのギャップを埋めるやり取りが始まる見通しです。3400万ポンドを提示したといわれるクリスタル・パレスは、エンケティアに矛先を変える可能性があると伝えられています。

ヌーノ・タヴァレスとマルキーニョスは、ローン移籍先を探すことになりそうです。納得のいくオファーがなければ、セドリク・ソアレスとニコラ・ペペもレンタルとなるでしょう。「インディペンデント」は、アヤックスのMFクドゥスと右SBを獲得するかもしれないといっていますが、前線もSBもこれ以上複雑化させる理由は見当たりません。

エミレーツカップのモナコ戦の後、ウェンブリーに乗り込んでマンチェスター・シティとコミュニティシールド。アルテタ監督としては、ライバルを叩いてノッティンガム・フォレストとの開幕戦を迎えたいところです。ロンドンで調達したトータル1億7000万ポンドの新戦力は、ピッチかベンチか。昨季、トリプルを喰らった王者とのリベンジマッチのスタメンが楽しみです。