偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドのホイルンドは、チャンピオンズリーグでは3ゴールを挙げているものの、プレミアリーグでは5戦ノーゴール。アーセナルのジェズスとエンケティアは、2人足しても3ゴールです。チェルシーが夏に獲得したニコラス・ジャクソンは、7戦2発という数字よりイエロー5枚のほうが目立っています。

スパーズのリシャルリソンも、8戦1ゴールと振るわず。プレミアリーグのビッグ6で、ストライカーに満足しているのは、ハーランドを擁するマンチェスター・シティのみでしょう。ダルウィン・ヌニェス、ジョッタ、コーディー・ガクポと枚数は足りているリヴァプール以外は、冬のマーケットで獲得できそうなゴールゲッターの情報収集を続けているようです。

この冬のマーケットでは、2人の点取り屋が動く可能性が高いといわれています。ブレントフォードのイヴァン・トニーは、プレミアリーグ通算68試合32ゴール。2022-23シーズンは20ゴールを挙げており、4試合以上の沈黙は1回もありません。232件に及ぶフットボール賭博を咎められ、8ヵ月の出場停止処分を受けた27歳のストライカーは、1月16日に復帰することになっています。

もうひとりは、移籍ゴシップの常連となっているナポリのビクター・オシムヘン。セリエＡ91試合56ゴールの実力者は、高額の移籍金がネックでしたが、クラブとの関係悪化によって次のマーケットで動く可能性が高いといわれています。発端は、ボローニャ戦の直後の公式TikTok。PK失敗をいじる動画にオシムヘンが激怒し、チームメイトとの間にも溝が生じてしまったようです。

「誰でもツリーのてっぺんでプレイしたいだろう。僕ができる限り高いレベルでプレイしたいと思っているのは、監督も知っており、その時が来たら決断する」。ビッグクラブにステップアップしたがっているイヴァン・トニーは、ミケル・アルテタ率いるアーセナルへの移籍を熱望と報じられています。

「ミラー」によると、最適なクラブを選びたいストライカーは、スーパーエージェントと評されるジョナサン・バーネットのCAAステラエージェンシーと契約を締結。プレミアリーグ制覇をめざすアーセナルも、リーグ屈指のフィニッシャーに興味を示しており、ブレントフォードが要求する6000万ポンド（約110億円）をクリアする可能性が高いと見られています。

イングランド代表の移籍が話題になっているなかで、今季プレミアリーグで未だ1ゴールのジェズスは、「アルテタ監督とエドゥSDとの会談で、ワイドでもプレイすると伝えた」といっています。新たなストライカーの獲得によって得点力を強化するというプランには、今や何の障壁もありません。

「アーセナルへの移籍を決めたとき、エドゥとアルテタは9番で起用したいとはっきりいった。しかし今季はケガ人が出たこともあり、ここ数試合はフロントスリーでプレイしている。しばらくは、9番で出たいというだけと思っていたけど、僕はチームを助けるためにここにいる。前線の3つのポジションをこなす才能と万能性を持っているのは、神に祝福されているということ。えり好みしないと思えるようになった」（ガブリエウ・ジェズス）

一方、オシムヘン獲得のトップランナーと伝えられているのはチェルシーですが…。昨季セリエAで32試合26ゴールのエースは、今季も8戦6発と絶好調。2025年6月まで契約が残っており、1億2000万ポンド（約220億円）ともいわれる移籍金はさほど下がらないでしょう。さすがにトッド・ベイリーも、簡単にはイエスといえないレベルです。

現状では、いつも通り「出る出る詐欺」のような見出しがメディアを賑わすだけで終わりそうですが、オシムヘンが強硬に出たいと主張して契約延長を拒否すれば、交渉の余地が生まれます。それでもマンチェスター・ユナイテッドとトッテナムは、金額をチラ見しただけで撤退するでしょう。こちらは、「ブルーズが本気なら成立する可能性あり」といったところでしょうか。

イヴァン・トニーはチェルシー、マン・ユナイテッド、トッテナムも注視しているといわれており、2人とも本命のクラブに落ち着くかどうかは不透明です。いずれにしても少し気が早い話ですが、チームの戦い方を変える可能性があるストライカーだけに、ついつい追いかけてしまう話ではあります。イヴァン・トニー…うらやましい限りです。