偏愛的プレミアリーグ見聞録

ティモ・ヴェルナー、ジェイドン・サンチョ、カイ・ハフェルツ。3人の年齢を足しても64歳にしかならず、いずれも高額の移籍金が必要とされる成長株です。クロップ監督がコネクションをキープするブンデスリーガから、ヤングスターを獲得しようとしているのは、完成してしまった最強3トップの「その後」を考慮した中期的な戦略と理解すればいいのでしょうか。2年連続プレミアリーグ得点王のモー・サラーは27歳、サディオ・マネも27歳、ロベルト・フィルミーノは28歳。左右のウイングには、夏が来るたびにスペインから招待状が届いており、そろそろ次のステップに進むタイミングと考えてもおかしくありません。

前述の3人のなかで、最も獲得しやすいのはティモ・ヴェルナーでしょう。プレミアリーグへの興味をオープンにしているゴールゲッターは、リヴァプールに行きたがっているといわれており、バイアウト条項に記された移籍金は5000万ポンド（約67億円）といわれています。ナーゲルスマン采配によって身に付いた低い位置からのアタックは、ショートカウンターと速いサイド攻撃を得意とするプレミアリーグ最強チームとの相性抜群。南野、オリギ、ヴェルナー、エリオットといつもの3トップが揃えば、クロップ監督が多少の負傷者に頭を悩ますことはないでしょう。現実的で即効性がありそうな補強に躊躇する理由は見当たりません。

マンチェスター・ユナイテッドとリンクしているといわれるジェイドン・サンチョは、1億ポンド（約134億円）を超える移籍金がネックです。レアル・マドリードは、マネを諦めなければ身動きが取れなくなる可能性があり、パリ・サンジェルマンもネイマール放出やマフレズ獲得などの話を交通整理しなければなりません。ウィリアンとペドロの後釜を探しているチェルシーは、高額移籍金に二の足を踏んでいるとのこと。赤いシャツの直接対決となれば、敏腕のマイケル・エドワーズ＆ドルトムント出身のユルゲン・クロップVSエド・ウッドワードで太刀打ちできると思えません。マン・ユナイテッドが速攻を決めるか、ライバルクラブが早期に対抗する態勢を作れるか。ムバッペの次に市場価値が高いと評されるイングランド代表のウインガーが、夏のゴシップの主役となるのは間違いなさそうです。

レヴァークーゼンのカイ・ハフェルツは、現在のレッズにいないタイプ。ウイングでもトップ下でも、インサイドMFでも機能する20歳のパサーが加われば、クロップ監督の戦術的な選択肢は大きく広がります。マンチェスター勢、チェルシー、バイエルン、ユヴェントスが関心を示している逸材にも、7500万ポンドを超えるタグが付けられると噂されており、ヴェルナーやジェイドン・サンチョを獲れば、健全経営のクラブでも手がまわらなくなるはずです。ハフェルツを諦めたら、ボックス・トゥ・ボックスのナポリMFファビアン・ルイスや、サイドを主戦場とするバレンシアのフェラン・トーレスらにターゲットを切り替えるかもしれません。

「スカイスポーツ」の「Liverpool transfer news and rumours」が押さえている中盤より前の獲得候補は、レヴァークーゼンのFWレオン・ベイリーと、ボルシアMGでポグバの再来といわれているデニス・ザカリアで打ち止めです。最終ラインでは、フランクフルトDFエヴァン・エンディカと、シャルケ04の生え抜きDFマリック・ティアウの名前が挙がっていますが、キ・ヤナ＝フーフェル、ゼップ・ファン・デン・ベルク、ネコ・ウィリアムズなど次世代の主力候補が揃っているポジションは、左サイドを強化するだけで終わるのではないかと思われます。久々の大型補強連発か、弱点補強特化か。ロケットスタートが得意なリヴァプールの夏の立ち回りに注目です。