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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】ファン・ハールの奥の手が炸裂!オランダ、ラスト2分からの2発で大逆転!

グループリーグでトップの10得点を挙げたオランダと、失点1のメキシコの「ほこたて対決」。両者とも、今大会流行りの5バックを採用し、中盤での組み立てをシンプルにして一気にゴール前に殺到する攻撃を得意としています。5バック=守備的という前提のなかで、オランダではファン・ハール監督の采配が賛否両論となっており、もっと攻めるべきという声が新聞を賑わせています。しかし、これについては「守備的だという批判があるがどう思うか」という質問を受けたファン・ハール監督がこう答えていたのが印象的でした。「逆に質問するが、あれだけ決定機を創っているサッカーのどこが守備的だというのだ?」。

なるほど。オランダ代表監督にしてみれば、5バックは攻撃を組み立てるための有効なシステムでもある、ということなのですね。確かに、DFの枚数が多いと、敵陣での迫力ある攻撃が少なくなるという単純な話ではありません。この監督がプレミアリーグに来たら、どんなサッカーを見せてくれるのでしょうか。ますます楽しみになってきました。言われてみれば、対戦相手のメキシコも、ボールを獲る位置は低めではあるものの、サイドで優位に立つとゴール前に4~5人が入り込む分厚い攻撃を展開しています。「ほこたて対決」は、決定機の数と、シュートの精度が結果を決めるゲームになるでしょう。

週末、スペイン人MFエレーラのプレミアリーグ参入など、マンチェスター・ユナイテッドが次々と新戦力獲得を発表しています。7月以降の職場でのチーム作りが忙しかった、などということはないのでしょうが、この日のファン・ハール軍団は、スペイン戦の圧勝が嘘のようにメキシコにペースを持っていかれました。9分に、いきなりベテランMFデ・ヨンクにアクシデントが発生。ダレイ・ブリントを中盤に上げてマルティンス・インディをCBに入れるというフォーメーション変更を余儀なくされると、ここからはメキシコのプレスに効果的なパスのコースを遮断され、ベラルタの見事な配球からエレーラ(こちらはメキシコ人)、サルシード、ドス・サントスにきわどいシュートを打たれます。

サイドでアドバンテージをとられ、何度も質の高いグラウンダーのクロスを入れられるオランダでしたが、フリーでシュートを打たれる最悪の状況だけは創らせず、0-0のまま試合は進行。プレスが厳しいなら一発で、とばかりに、オランダは時折ロングパスをファン・ペルシに直接通して決めようとするものの、メキシコの守備も堅く、1対1は不発。前半終了間際にファン・ペルシとロッベンがカウンターから突破を図るも、冷静に対応され、メキシコ優勢のまま前半を終えます。

後半開始からわずか3分。相手のクリアを拾ったドス・サントスが、オランダDFの一瞬のスキをついて思い切りのいい左足ミドルを放ち、ついにメキシコ先制。このままでは負けとなったオランダは反撃を試みるも、セットプレーでしかチャンスを創れず、いざシュートを打てる状況となっても、ゴール前にはブラジルですら沈黙させたGKオチョアがいます。ファン・ペルシは消され、ロッベンのドリブルは単独攻撃となると「中に斬り込んでくる」と読まれやすく、狙いどおりのシュートを打たせてもらえません。74分のロッベンの一発も、オチョアがブロック。試合は完全なるメキシコペースです。途中出場のFWデパイも機能しないとみると、ファン・ハール監督は、最後の賭けに出ます。76分、今季プレミアリーグでも、代表同様に自軍のキャプテンをまかせるであろう絶対的エースのファン・ペルシを下げ、フンテラール登場。これが、当たりました。

残り2分。私は、メキシコの勝ち抜けを確信していました。総失点1の堅守はたまたまじゃない。追加タイムを入れても、ロッベンのドリブルとフンテラールめがけた放り込みだけで点を獲るには、時間が少なすぎるだろう、と。しかし、オランダにはもうひとつ、生命線がありました。ロッベンのCK。守りにくい弾道のボールがフンテラールに届き、途中出場のFWが冷静に頭で落とすと、そこにフリーでいたのはウェズレイ・スナイデル。彼の位置からは、誰がみてもわかるようなゴール左隅へのコースが一直線に空いています。スナイデルは躊躇なく、まっすぐシュート。これが決まって1-1、同点!パスもドリブルも止められていたオランダは、セットプレーという最後の手段を活かして土壇場で追いつきました。

コートジボアール戦の日本代表がそうだったように、1-0では保ち続けられた緊張感と集中力が、同点にされた瞬間に緩んでしまうことがときどきあります。追加タイムは残り4分、ロッベンが右からペナルティエリア内に入ってパスを受け、切り返してシュートを打てる位置にドリブルしようとすると、マルケスが足を引っかけてしまい、ジャッジはPK。これを完璧なシュートでサイドネットに突き刺したのは、フンテラールです。オランダ、ラスト2分からの大逆転!最後に平常心をキープできなかったメキシコは、最高の試合運びで勝ちパターンに持ち込んだ88分間のがんばりを、勝利という結果に結びつけられませんでした。

今日もまた、一発勝負の決勝トーナメントらしい見応えのあるゲーム。オランダは勝負強かったですね。たった今、ギリシャが終了直前の90分にコスタリカに追いついたばかりです。1-0でコスタリカが「順当勝ち」すれば、書かなくてもいいかと思っていたのですが、これは悩みます。月並みですが、サッカーは、最後まで何が起こるかわかりません。ギリシャにしてもコスタリカにしても、オランダが次戦で当たる、勢いのあるアウトサイダーがやっかいなのは間違いありません。プレミアリーグ終盤戦で、サンダーランドが次々と強豪クラブを撃破して、無理といわれていたプレミアリーグ残留を決めたように。(クラース・ヤン・フンテラール 写真著作者/Paul Blank

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“【Brazil2014】ファン・ハールの奥の手が炸裂!オランダ、ラスト2分からの2発で大逆転!” への2件のフィードバック

  1. あああ より:

    ロッベンちょっとダイブしすぎ・・・

  2. makoto より:

    あああさん>
    前半のは、さすがにやめていただきたかったですね…。

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