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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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不可解だった4バックと終盤の戦術。枠内シュート1本のコスタリカに敗れた日本は、スペイン戦必勝…!

ドイツ戦の森保采配は素晴らしかったのですが、「前半は失敗だった」ことを忘れてはいけません。ワールドカップカタール大会グループステージ第2戦、日本VSコスタリカ。ドイツを相手に歴史的な3ポイントを奪取した指揮官は、先発メンバーを5枚代えて決戦に臨んでいます。

フォーメーションは、初戦の前半と同じ4-2-3-1でしょうか。GK権田、DF山根、板倉、吉田、長友。2センターは遠藤と守田、2列めに堂安、鎌田、相馬、ワントップに上田という顔ぶれです。

ドイツに完封された前田と久保を外したのは納得ですが、南野、三笘、浅野が全員ベンチは驚きです。負傷した酒井の代役に山根は、大方の予想通りでしょう。相馬と上田が何を託されたかは、キックオフの笛が鳴ってから確認しましょう。

開始早々から、日本の攻勢。敵陣で奪ったボールが前線につながった3分のチャンスは、落としをもらった堂安のミドルが左に切れていきました。守備時のファールが目立つ日本。プレミアリーグファンになじみがあるジョエル・キャンベルに、ドリブル突破を許してはいけません。

コスタリカの布陣は5-4-1。日本の中盤は、縦の出しどころがなく、スピードを上げられません。13分にボックス右を突破した堂安のグラウンダーは、誰も触れず逆サイドへ。ポゼッションを取っている日本のほうが、困っているように見えます。

鎌田は1発を狙いすぎ、上田はポストでミスを連発。気温32度のゲームだからか、両者ともスローです。自陣で奪った後、カウンターを仕掛けられる状況で、遠藤や守田が後ろに戻してしまうのが気になります。35分のカルボのロングシュートをカットした後、ボールはジョエル・キャンベルの足元へ。左足アウトのダイレクトショットが浮いてくれて、助かりました。

38分の沿道の左足ミドルは、赤いシャツがブロック。日本代表は低調なまま、ハーフタイムを迎えました。シュート数は2対3、オンターゲットはゼロ、ポゼッションは42対58、ファールは12対5。前半のスタッツは、日本がいかに苦戦したかを物語っています。

森保監督は、ハーフタイムに長友と上田を下げ、伊藤と浅野を投入。2戦連続で機能しなかった4-2-3-1は、3-4-2-1になっています。後半が始まって1分、浅野をポストに使った守田が上がり、強烈なミドルシュート。ナバスが冷静にセーブし、日本の先制はなりません。

浅野が左から仕掛けた47分のアタックは、二次攻撃からの遠藤のミドルをカルボがブロック。49分のCKからの連打も、赤い壁がコースを切っています。57分に左からカットインした相馬のシュートは、右にアウト。山根に代わって三笘が入ったのは、61分です。交代策の直後、相馬がボックス手前から蹴ったFKは、クロスバーを越えていきました。

67分、堂安に代わって伊東が右サイド。70分に伊東が中央から突破した決定機は、カルボが腕をつかんで阻止しました。われわれとしてはレッド、しかし現実はイエロー。鎌田のFKも、フォローした相馬のシュートも壁にヒットしました。

日本代表に痛恨のミスが出たのは81分。ボックス左でカットしたボールをつなごうとした吉田の浮き球が中途半端になり、スライディングで縦に蹴った守田が奪われてしまいました。テヘダのパスを受けて、左足でコントロールショットを打ったのはフレール。権田のグローブを弾いたボールが左隅に吸い込まれました。

最後に入った南野拓実は、決定的な仕事をできませんでした。87分に左サイドを崩した三笘がグラウンダーを入れると、鎌田の一撃はナバスが足でブロック。押し続けていた日本は、後半に許した唯一のシュートで痛い敗戦を喫しました。コスタリカはオンターゲット1本。ボックス内でのボールタッチはわずか2回で、ワールドカップで勝ったチームのなかでは最少レコードです。

なぜ、初戦でうまくいかなかった4-2-3-1スタートだったのか。なぜ、今大会初出場を4枚も入れたのか。逆転しなければならなかったドイツ戦をトレースするような戦い方は、必要ない状況でした。前半の狙いは大量得点で、それが難しくなった終盤は、勝つことよりも「絶対に負けないこと」のほうが重要だったのですから。

コスタリカにドローで勝ち点4なら、ドイツ連敗となれば最終節は僅差で負けてもOK。ドイツがスペインにドロー以上でも、最終戦をドローで勝ち抜けとなります。しかし敗れて1勝1敗となれば、スペイン戦は必勝となってしまうのです。

ドイツ戦とは違い、リスクを取らなくてもよかった。初戦の後半立ち上がりをベースにした「バランス重視の3-4-2-1」で始めてゴールラッシュを狙い、叶わなければラスト20分は後方のスペースを埋めて速攻狙いでよかった…。

楔のボールを入れられない遠藤を最後まで残したのも、三笘を活かせず戻してばかりだった伊藤を左のCBに置き続けたのも不可解でした。「勝てば一気に決められる」と捉えた指揮官のゲームプランによって、鎌田をはじめ前線が焦って攻めた結果、コスタリカの狙い通りの展開にはまってしまいました。

ドイツとスペインは、1-1ドロー。勝ち抜け条件は3ポイントで、ドローだったら、あちらも引き分けか、1点差勝利のドイツを総得点で上回るという着地を祈ることになります。痛い敗戦ですが、気持ちを切り替えて次戦に臨んでいただければと思います。ミッションもアクションも明確。今日のコスタリカのようにしたたかに戦い、同じ結果を出すだけです。(吉田麻也 写真著作者/Светлана Бекетова)


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