2026.06.28 FIFAワールドカップ2026北中米大会FIFAワールドカップ
アジア勢惨敗、レベル差は歴然…48ヵ国のワールドカップは今後も続くのか?
勝負を決する2点めは、ハリー・ケイン。ワールドカップ通算11ゴールは、ガリー・リネカーを上回るイングランド人のレコードです。左から柔らかいクロスを上げたのはベリンガムで、やはりチームになくてはならない存在と再認識しました。コビー・メイヌーが出番を得られなかったのは残念ですが、ノックアウトラウンドに期待しましょう。
イングランドのラウンド32はコンゴで、その次はメキシコVSエクアドルの勝者です。ベスト8まで一気に駆け上がれそうな蜂蜜ルート…いや、しばらくは蜂蜜というワードは避けたほうがいいでしょう。いきなりブラジルとぶつかる日本にしてみれば、うらやましい限りです。同じ2位通過でエジプトと戦うオーストラリアは、開催国の優遇策に乗っかったのでしょう。
アメリカはグループDの首位でボスニア・ヘルツェゴビナと戦いますが、2位通過ならエジプトでした。カナダは南アフリカ、メキシコはエクアドルと与しやすい相手を引いています。韓国は最後の試合で勝っていれば、ネクストステージの初戦はカナダだったのです。メキシコと南アフリカにノーゴールの連敗は、「泣きっ面に蜂蜜」…いや失礼。蜜は余計ですね。
あらためてグループステージを振り返ると、48ヵ国のワールドカップは何かと無理があるのではないかと思います。大前提として、これまでの32ヵ国が5割増しとなるので、全体的なゲームのレベルは下がります。FIFAランキングで振り分けられたポッド3とポッド4に、大量にアウトサイダーが入ったため、「死のグループ」も「まさかのグループステージ敗退」もなくなりました。
とりわけレベルが低かったのは、アジアと北中米カリブ海です。9ヵ国が出場したアジアは、3勝9分15敗。2位以内で勝ち抜いたのはオーストラリアと日本だけで、中央アジアと中東の国はすべて勝利なしで終わっています。トータル27試合で23ゴールしか決めておらず、オランダ、チュニジア、スウェーデンの3試合で7ゴールを決めた日本以外は、3ゴール以下でした。
カタール、サウジアラビア、イラク、ヨルダン、ウズベキスタンはグループ4位で、3つともドローのイランは3位。過去4大会連続出場の日本、韓国、オーストラリア、イランにプラスワンぐらいが精一杯なのだと思われます。春のセンバツの21世紀枠を乱発するようなレギュレーションが続けば、アジア勢と同居した中堅国は、悠々とノックアウトラウンドに進むでしょう。
北中米カリブ海は少し事情が違い、アメリカ、カナダ、メキシコの3ヵ国開催による繰り上げ当選のような3つの国が、アンダードッグと化してしまいました。大量のトコロテンを絞り出した結果、ハイチ、キュラソー、パナマは1分8敗。ハイチは全敗、パナマはノーゴール、ドイツにいきなり7発を喰らったキュラソーはつらそーでした。
ニュージーランドは1分2敗で4位でしたが、地域別に出場国を割り振るなら、オセアニアは1枠をもらうべきでしょう。これによって、「何でオーストラリアがアジアやねん!」という積年のモヤモヤが解消するはずです。ヨーロッパの16枠も、多すぎたのかもしれません。プレーオフで勝ち上がった4ヵ国はすべてグループの3位以下で、トルコとチェコは最下位です。
レベルの高低差で耳がキーンとなるグループばかりになったうえに、「3位のうち8チームが勝ち抜け」という悪しきルールが乗っかったため、最終節は帳尻合わせのような試合が続出しました。グループステージのラストマッチで勝ったのは、「弱小国とのゲームが3戦めに組まれていた国」「負けてもいい相手と当たった国」で、談合といじられそうなドローが4つもありました。
グループAからCまでは、最終節の6試合がすべて勝ち負けとなっているので、その後のドローには多分に3位の順位計算が入ったのではないかと思われます。「2位までが勝ち抜け」という今までのルールなら、グループ内ですべてが決まるので、同時刻開催の3試合めはエキサイティングな試合が続きます。48ヵ国の最大の弊害は、「1勝1分1敗なら3位でもOK」となったことでしょう。
最後にひとつだけ、記録を残しておきたい試合があります。オールドファンは、「ヒホンの恥辱」を覚えているのではないでしょうか。1982年のスペインで、西ドイツがオーストリアに1-0で勝った一戦です。この結果、3チームが2勝1敗で並び、得失点差でアルジェリアが敗退となりました。ルベッシュがヘッドを決めた後の80分を、パスをまわすだけで終えた「マジの談合」です。
今回のグループステージを締める最後のゲームは、アルジェリアVSオーストリア。ドローなら両者ともに次のラウンドに進めます。44年前の茶番が繰り返されるのか?アルナウトヴィッチが決めてオーストリアが先制すると、ベルガリが3人をかわして左足を振り抜き同点。ザビッツァーの豪快なダイレクトショットの後、マフレズが左からの折り返しを押し込んだのは60分でした。
ここまでのシュートは、両チーム合わせて17本だったのですが、70分過ぎから90分までは1本もありませんでした。どちらかがボールをキープすると、相手はローブロックを敷き、シュートコースを消しています。誰もがこのまま終わると思っていた93分、ブーイングが鳴り響くなかで、ゆっくりパスをまわしていたアルジェリアが突如ペースアップしました。
高速の縦パスを出したのはシャイビ。アワールがボックス右に出したスルーパスは完璧で、抜け出したマフレズが右足でファーのサイドネットに収めました。彼らは虎視眈々と「カンザスシティの復讐」を狙っていたのでしょうか。3-2でタイムアップとなると、オーストリアは1勝2敗で敗退です。試合が再開したとき、追加タイムの残りはゼロになっていました。
前線に放り込んだボールがラインハートにつながるも、左足の一撃はミスキック。ここで笛が鳴るかと思いきや、プレー続行です。ザビッツァーが左からハイクロスを入れたのは96分。ファーに走り込んだグリリッチュが頭で折り返すと、フリーだったカライジッチのヘッドがネットを揺らしました。今大会で最高にエキサイティングなドロー。白いシャツは呆然としています。
アルジェリアは、3位のままで終わればラウンド32はスイスで、2位ならスペインでした。ドローのほうがベターだったのに勝ちにいったのは、プライドを示したかったからか。これが台本通りなら、作家も演者も超一流です。こんな試合が観たかった!バドライトはそろそろ終わりにして、これからは極上のテキーラとバーボンを堪能させてもらいましょう。
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