リヴァプール紀行 (1)ビートルズの街にやってきた!が…。
2012年12月28日、私は相方と2人で、大いなる期待とささやかな疑念をもって、初めてこの地を訪ねました。疑念の理由?それは、リヴァプールを飾るさまざまな修飾語や固有名詞の数と、地図のスケールが合わないということ。どう見ても街の中心部は小さく見えます。これらをいかに格納すれば、数多ある歴史的建造物がこのエリア内に収まるのか?
ロンドンから2時間30分、リヴァプールのライムストリート駅に着いたのは、20時30分でした。想像していたよりも駅舎はコンパクトで、通りに出ると、すでに街の灯りは少なくなっています。駅前にあるホリディ・インにチェックインし、荷物を部屋に置いて、すぐさま「どこかで夜食を」と街を歩きますが、大通りを走る車も少なく、ところどころで看板を光らせている小さなピザ屋やインド・レストランしかありません。中華街も真っ暗で心もとなく、繁華街のほうへ向かえば…とネオンを頼りに歩くも、大半の店が閉まっており、もはや地元の老夫婦がのんびりパイをつまんでいるような、いかにも古いパブしかありません。イギリスにいるのだからパブでいいじゃん、とホテルの裏にいくつか並んでいるなかでも、それなりに流行ってそうなところに飛び込みました。そこがまた、怪しげ。臓物を何が入っているのかわからないようなブラウンのソースで煮込んだパイと、そっけなく茹でたポテトと豆。何とかギネスとエールで胃に流し込み、食べられただけでもよかったかな、とそのままホテルへ。ベッドに横になり、「まだ、ビートルズで有名なマシュー・ストリートにも行ってないし、港も見ていない。いろいろあるよ、リヴァプールなんだから」という気持ちと、「駅前でこれかよ。やばいな、リヴァプール」という不安が錯綜します。もちろん、大きいのは後者。とにかく寝よう、そして明日、と思考を停止させて熟睡。朝、散歩がてらホテルを出ると、そこには……。
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