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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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プレミアリーグ制覇に辿り着けるか?ユルゲン・クロップとリヴァプール、5年めの進化。

トッテナムに2-1で勝利し、プレミアリーグ10試合9勝1分という素晴らしい戦績で首位をひた走るリヴァプール。ユルゲン・クロップ監督が構築した攻守のバランスが絶妙なフットボールは、完成の域に近づきつつあります。2015年10月、「ゲーゲン・プレッシング」という看板を背負ってリヴァプールにやってきた指揮官には、タイトなプレミアリーグではフルシーズンを走り切ることはできないのではないかといった懸念の声が挙がっていました。ガナーズを無敗優勝に導いた名将にも、就任間もない頃に「Arsène Who?」と容赦なく疑念を浴びせたお国柄です。ドルトムントを二冠に導いた実力者も、レッズを復活させられると評価されていたわけではありませんでした。

最初のシーズンは、プレミアリーグ8位。ヨーロッパリーグとキャピタルワンカップでファイナルに進出したものの、年末年始も試合に明け暮れるリーグへの戸惑いが強く感じられるデビューシーズンでした。2年めと3年めは、プレミアリーグでTOP4を確保しながら戦術の熟成と守備の強化を推進。マネ、ワイナルドゥム、マティプ、サラー、ロバートソンといった現在の主力を引き入れ、激しいプレッシングからのショートカウンターと引いて戦う形のスイッチングを浸透させます。

2018年1月には、DFとしてプレミアリーグ史上最高額の7500万ポンドでヴィルジル・ファン・ダイクを獲得。ペップのマン・シティやローマを倒してCLでファイナルに進出すると、勝負の夏にアリソン・ベッカー、ファビーニョ、ナビ・ケイタ、シャキリと足りなかったパーツをすべて手に入れました。2018-19シーズンに30勝7分1敗という出色の戦績で「史上最強の2位」となり、チャンピオンズリーグでは決勝でトッテナムを下してクラブを14年ぶりのビッグイヤーに導きました。

完成度が高まったチームは、プレミアリーグ制覇に再チャレンジする2019-2020シーズンを控え、前年とは打って変わってゼップ・ファン・デン・ベルフ、エリオット、アドリアンという地味な補強で店仕舞い。負傷が癒えずに前シーズンの大半を棒に振ったチェンバレンと、プレミアリーグにフィットしきれなかったナビ・ケイタが本領を発揮すればチームは進化すると考えたのでしょう。私は不満でした。ペップがロドリとジョアン・カンセロを手に入れたのに、なぜ勝負しないのか。スタリッジとアルベルト・モレノの後釜や、トップ下で違いを創れる攻撃のオプションは必要なのではないか。3トップが負傷した際の保険がオリギのみになりかねないチームは、マン・シティの独走を許してしまうかもしれないとさえ思いました。

開幕戦でアリソンが離脱する不穏なスタートでしたが、アドリアンの奮闘によって勝ち点を落とさずにレギュラーGKを復帰させることに成功したチームは、1年前よりもハイペースで勝ち点を積み上げています。3トップをフレッシュな状態に保つためには、シャキリ、チェンバレン、ナビ・ケイタのフィットが不可欠ですが、シャキリとナビ・ケイタは負傷で出遅れ、チェンバレンはプレミアリーグ先発2試合に留まっています。それでも強いリヴァプール。クロップ監督は、適材適所のチームにいくつかのアレンジを加え、プレミアリーグ制覇とCL連覇を目論んでいます。

前年があまりにも凄すぎたファン・ダイクは「普通のワールドクラス」ですが、2018-19シーズンの後半からレギュラーに定着したマティプによって、ビルドアップのクオリティは上がっています。最大の進化は、流動性の高さではないでしょうか。ユルゲン・クロップ監督は、スペシャリティとユーティリティの切り分けを行い、チームの対応力を高めようとしているように見えます。前線の3人はユーティリティの極みです。マッチアップする相手によって、守備に長けたマネのサイドを変えるのは今季の新機軸。サラーのワントップ、2トップ+フィルミーノのトップ下と、試合中に前線の配置を変えるのはもはやアタリマエとなりました。

中盤に目を移すと、入団初年度の昨季は10月まで起用しなかったファビーニョをCBの前に固定しています。ボールを奪われるや否や複数の選手で囲い込み、最終ラインを下げずに奪取できるのは、縦のコースを確実に切ってくれるアンカーのスペシャリストの存在によるところ大です。接戦でサイドを攻略したいときは、ヘンダーソンをサイドに張らせたり、ミルナーやララナを空いたスペースに入らせたりしています。ここぞというシーンで前線に上がってくるワイナルドゥムを含め、インサイドMFにはユーティリティの発揮が求められています

昨季プレミアリーグで23アシストと世界最高の両SBは、上下動を徹底するスペシャリスト。アーノルドはアーリークロス、ロバートソンはボックス脇に斬り込んで入れる速いボールを武器としています。主力の可動域が上がったチームの次なる課題は、シャキリ、チェンバレン、ナビ・ケイタの完全なるフィットでしょう。シャキリはウイングとプレーメイク、チェンバレンはウイングとインサイドという複数の役割を求められ、ナビ・ケイタは左からのアタックの強度を高める存在です。プレミアリーグ制覇が実現できるかどうかは、彼らのパフォーマンスにかかっているといっても過言ではないでしょう。明日のアーセナル戦には、ナビ・ケイタとチェンバレンが起用されるのではないでしょうか。引き続き、レッズのさらなる進化と、3人のリベンジに注目していきたいと思います。

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“プレミアリーグ制覇に辿り着けるか?ユルゲン・クロップとリヴァプール、5年めの進化。” への7件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    更新ありがとうございます。いやー、レッズ強いですね。今のシティではちょっと勝てないんじゃないでしょうか。
    クロップもリーグタイトルは絶対獲りたいでしょうし、シティの3連覇は我慢できないでしょう。
    怪我人さえ出なければ行けるんじゃないですか?ただ、怪我人続出のシティよりレスターの存在の方が気になります。

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    まさにケイタ、OX、シャキリの出来が鍵を握りそうですね。ここに来てマティプが膝痛で離脱ときて、CBのやりくりが難しそうです。まあゴメスに期待ですが。長年レッズサポやってますが、今年こそ優勝!と言う気持ちが一番強いです(笑)

  3. ガナユ より:

    クロップ来てからの補強素晴らしいですよね。やりたいサッカーが明確だと必要な選手もわかるという事なんですかね。

    3topのシーズン通しての稼働次第な気はしてます優勝は。オリギと三人との差は簡単には埋められないと思いますね。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    ベストメンバーなら相手がどこでも勝てると思うのでカップ戦はメンバー落として最悪捨ててもいいでしょう

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    オリジはスターリッジとの2トップ時代から先発だと4点入る率がもの凄いんですけどね。
    4-3-3で誰かの代わりだと難しいんだと思います。

  6. アイク より:

    更新ありがとうございます。
    スペシャリティとユーティリティの切り分け…その通りだと思います。王様コウチーニョの売却が結果的にチームを大きく進歩させましたね。黄金時代です。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    クロップやベップを見ているとやはりサッカーは監督が全てだと痛感しますね。いくらフロントが優秀だろうが、高額な選手がいようが、稀代の名将には適わない。
    日本にあのクラスの名将が出てくるのはいつになるのやら。

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