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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

エゼ、ガブリエウ…勝者のミスは忘れられ、敗者の傷は癒えないPK戦という残酷な結末。

「みんなを失望させてしまった。それが何よりも辛い。人生の残りの時間は、あのことにずっと苦しめられるだろう」。2008年5月21日、雨が降りしきるルジニキ・スタジアムで、PKを蹴る瞬間に足を滑らせたジョン・テリーの言葉です。5人めのキッカーだったキャプテンが決めれば、チェルシーはマンチェスター・ユナイテッドを下してビッグイヤーを獲得していました。

ジョン・テリーが膝に頭を付けて涙する数分前に、クリスティアーノ・ロナウドがチェフに止められていたのを覚えている人は、ほとんどいないでしょう。PK戦とはかくも残酷なもので、勝者の失敗はトロフィーの裏に隠され、敗者は自らの行いに一生苛まれます。初優勝を遂げる絶好のチャンスを逃したチェルシーは、4年後のミュンヘンでリベンジを果たしました。

バイエルンとのファイナルで持てる力を発揮し、痛恨のスリップで刻まれた心の傷を消し去りたかったジョン・テリーは、サスペンデッドでベンチにも入れませんでした。モスクワの激戦と同じ1-1でPK戦となると、バイエルンの4人めのイヴィツァ・オリッチが右隅を狙ってチェフにセーブされ、5人めのシュヴァインシュタイガーはポストに当ててしまいました。

この試合もまた、93分にロッベンがチェフにPKをストップされたことや、PK戦の最初のキッカーだったファン・マタのミスキックは、さほど話題にならなくなっています。最後の2人が連続で失敗した逆転負けの印象があまりにも強く、イヴィツァ・オリッチは「あの悲しい夜のことは、決して忘れないだろう」といっています。

2026年5月30日、ブダペストの夜。ウスマン・デンベレの同点ゴールがPKだったことも、ヌーノ・メンデスと競り合ったノニ・マドゥエケがPKをもらえなかったことも、1年後には忘れられているのかもしれません。敗戦の瞬間、肩を落としたグーナーたちは、ダヴィド・ラヤがセーブしたPKのキッカーが、ノニ・マドゥエケと絡んだSBだったのを覚えているでしょうか。

この日のアーセナルは、バイエルンに30本のシュートを喰らいながらもPK戦に持ち込んだディ・マッテオのチームと、同じ道を辿っているように見えました。いや、ミケル・アルテタ監督が抱いていたイメージを過去のファイナルになぞらえるなら、同じチェルシーでもマンチェスター・シティのアタックをしのいだ2020-21シーズンだったはずです。

トーマス・トゥヘルの下でトロフィーを獲得したあの試合も、決勝ゴールはカイ・ハヴェルツでした。パリ・サンジェルマンのサイド攻撃と速攻を4人のCBで跳ね返し、少ないチャンスを活かして勝ち切るプランは、29番の先制ゴールによってリアルになりました。そこからはハーフコートマッチとなりましたが、ディ・マッテオより勝者にふさわしいチームだったと思います。

パリのオンターゲットは4本だけで、PKを除く3本はラヤが悠々とさばけるボールでした。前半終了間際にウーデゴーアのスルーパスでカイ・ハヴェルツが抜け出したシーンや、パチョから奪ったカイ・ハヴェルツがサカにラストパスを送った74分のチャンスで決めていれば、堅守のチームが狙い通りの完勝といわれていたでしょう。

何とかワンチャンスを活かしたかった指揮官は、PK戦でキッカーを務めてほしかったカイ・ハヴェルツ、ウーデゴーア、サカを代えていました。2回のコイントスで敗れ、パリのサポーターが陣取るサイドで後攻となったのも、プレッシャーにつながったのか。120分の激闘でパリにPKしか許さなかったチームは、サフォノフにPKをセーブされることなく、敗戦の時を迎えました。

ジョン・テリーやオリッチ、シュヴァインシュタイガーと同じ傷を負ったエゼとガブリエウを癒す唯一の手段は、ビッグイヤーを獲得すること。チェルシーは4年、ペップのマン・シティは2年で、痛恨の敗戦から栄冠に辿り着きました。最後のミスを犯したのがガブリエウなら、チームに一体感が生まれるでしょう。来年の舞台は、戦い慣れたエスタディオ・メトロポリターノです。(ガブリエウ・マガリャンイス 写真著作者/Chensiyuan)


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