2026.07.11 リヴァプールの話題
なぜ、今なのか?リヴァプールのマイケル・エドワーズCEOが復帰から2年4ヵ月で退任!
もはや退団は避けられない状況と伝えられていたものの、「なぜ、今なのか」という疑問を拭いされずにいます。リヴァプールのオーナー、フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)でフットボール部門のCEOを務めていたマイケル・エドワーズが辞任することになりました。新監督のアンドニ・イラオラが、AXAトレーニングセンターで初めての会見を行ったばかりです。
マイケル・エドワーズがトッテナム・ホットスパーからリヴァプールに加わったのは、2011年でした。当初のポジションは、パフォーマンスディレクター。2016年にスポーツディレクターに就任すると、ユルゲン・クロップ監督を招聘し、モー・サラー、サディオ・マネ、ファン・ダイク、アリソン・ベッカーといったワールドクラスを次々に獲得しました。
プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、クラブワールドカップから国内のトーナメントまで、すべてのタイトルを手に入れた黄金時代は、敏腕ディレクターなくして成しえなかったでしょう。2022年に退任したのは、経営にダイレクトに関わりたかったからでしょう。マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーは、高額のオファーを即答で断られています。
スポーツアドバイザリーアナリティクス企業のコンサルタントを経て、マージーサイドに戻ってきたのは2024年3月。復帰を決断した最大の理由は、FSGによる複数クラブ運営のモデル構築を主導できるからです。新たなCEOは就任から間もなく、リチャード・ヒューズSDとジュリアン・ウォードTDによって組織をマネジメントする体制を築きました。
それから2年。結論からいえば、FSGの目論見は実現しませんでした。「アスレティック」のジェームズ・ピアース記者によると、マイケル・エドワーズCEOとジュリアン・ウォードTDは、スペイン、ポルトガル、フランスを中心に25クラブの経営状況をリサーチし、ボルドー、マラガ、ヘタフェ、モナコの買収を具体的に検討したそうです。
これらの提案をことごとく却下されたCEOは、「FSGは匙を投げた」と見做したのでしょう。プロジェクトが頓挫したのは、買収価格の問題に加え、同一のオーナーが保有する複数クラブが欧州の大会に同時に出場できないとするUEFAの規定強化があったからです。苛立ちを募らせたCEOは、昨年の秋には辞任を申し出ていたといわれています。
FSGは、マイケル・エドワーズの退任について「戦略的優先事項の完了に伴う計画的な移行の一環」とするステートメントを出しており、マイク・ゴードン会長は「当然ながら、失望している」とコメントしています。当面は後任を置かず、会長がフットボール部門の運営に直接関わるようですが、トップの退任に伴い、リチャード・ヒューズSDもクラブを去ると見られています。
「なぜ、今なのか」。冒頭の問いを言い換えると、「退任不可避のCEOを、なぜここまで引っ張ったのか」となります。「スカイスポーツ」のヴィニー・オコナー記者は、「2025年の秋にはわかっていたことで、大混乱とはいえない。現時点でリヴァプールの組織における変更は、エドワーズの退任だけだ。過度にパニックになる必要はない」といっているのですが…。
年明けから準備を始め、長期的な視座をもった経営トップとSDを招聘していれば、アンドニ・イラオラ監督がハシゴを外されたように見える体制にはならなかったでしょう。FSGは、マイケル・エドワーズを何としても引き留めたかったのでしょうか。サウジアラビアのアル・ヒラルに向かうと噂されているSDが、数年後を視野に入れた補強を推進するとは思えません。
「テレグラフ」のドミニク・キング記者は、「アリソン・ベッカー、ファン・ダイク、ジョー・ゴメス、エリオット、カーティス・ジョーンズなど、9人の主力が契約の最終年を迎えているが、重要な決定を下すのは誰なのかという疑問がある」といっています。2年契約から長期政権へのシフトをめざすイラオラは、自らの戦術にフィットするタレントを揃えられるのでしょうか。
これまでに押さえた新戦力は、ジェレミー・ジャケとヴィクトル・ムニョスのみ。モー・サラー、ロバートソン、コナテ、リース・ウィリアムズを手離したクラブは、前線も中盤も最終ラインも選手層が薄くなっています。新監督は、納得できるスカッドで開幕を迎えられるのか。CEOを失った組織は、将来が不透明なSDのモチベーションも心配です。
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