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帰ってきたデヴィッド・モイーズ!難易度が高いサンダーランド残留を達成できるか!?

名将揃いのプレミアリーグに、またひとり名物監督が加わりました。サム・アラダイス監督のイングランド代表監督就任によって、空席となったサンダーランドの指揮官の座におさまったのは、デヴィッド・モイーズ、53歳。プレミアリーグ残留をめざすクラブにやってきたことをふまえて紹介するなら、元マンチェスター・ユナイテッドではなく、「2014-15シーズンに19位に沈んでいたレアル・ソシエダを残留させた」「11年3ヵ月の長きにわたりエヴァートンを率いた」監督といったほうがいいでしょう。

2002年3月、プレストン・ノーズ・エンドからエヴァートンに移籍したモイーズ監督は38歳。監督歴4年の若い指導者でした。翌シーズンは選手との確執が報じられるなどチームは低迷し、17位に終わりましたが、2004-05シーズンにはチャンピオンズリーグ出場権圏内のプレミアリーグ4位にジャンプアップ。ダンカン・ファーガソン、デヴィッド・ウィアが中心で、ウェイン・ルーニーが去ったばかりの地味なチームをよくぞここまで引き上げました。躍進のキーマンとなったのは、ミルウォールから150万ポンドで獲得したオーストラリア人MFティム・ケーヒル。後のドイツワールドカップで日本人を悲しませたトップ下は、チーム最多のプレミアリーグ12ゴールを挙げて、トップリーグでも通用することを証明しました。クラブレコードの移籍金で獲得したジェームズ・ビーティこそ空回りしたものの、冬にレンタルで呼び寄せたミケル・アルテタは大正解。得点45、失点46で上位に食い込んだあたりに、監督力の素晴らしさが感じられます。ここから、モイーズ監督は「限られた予算をやりくりしていいチームを創る」という評価を定着させます。

レスコット、レイトン・ベインズ、ジャギエルカ、フェライニ。いずれもチームの軸となってくれた選手ですが、1500万ポンドだったフェライニ以外はさほどお金をかけずに獲得した選手です。2006-07シーズン以降、モイーズ監督のエヴァートンは「いいときはヨーロッパリーグ出場権獲得、悪くても8位」と安定感抜群。サー・アレックス・ファーガソン監督が、数人の候補を諦めた後とはいえ、後継者として指名したのもわかります。ところが、中堅クラブで築いた高い評価をバックグラウンドにマンチェスターに乗り込んだスコットランド人監督は、主力選手を掌握できずに9ヵ月で解任となってしまいました。

当時については、オーソドックスなロングクロス主体のスタイルでは、トップクラブの選手たちの納得感は得られなかっただろうという厳しい見方が半分。偉大なサー・アレックス・ファーガソンの直後は誰がやっても難しく、自前のスタッフだけで何とかしようとしなければもっとやれたのではないかという無念さが半分です。マンチェスター・ユナイテッドをヨーロッパリーグにも連れていけずに終わった後、レアル・ソシエダの初年度は19位にいたチームを12位に引き上げ、リベンジを果たすかに思われましたが、翌シーズンの序盤戦で2勝3分6敗の16位と沈んでしまい、あえなく解任。このたびのプレミアリーグ復帰は、2回連続で低迷の責任を取らされたモイーズ監督にとって、失敗できないプロジェクトです。

「サンダーランドの監督になれたことをとてもうれしく思う。このチャレンジが楽しみだ。エヴァートンの監督に就任した頃を思い出すね。サンダーランドは上昇しなければならず、エヴァートンで取り組んだことを再びやっていかなければならない。サム(・アラダイス)の素晴らしい仕事を少しばかり変える必要がある。それが私の課題だ」(デヴィッド・モイーズ)

エヴァートンでは17位、その後の2クラブは解任。この指揮官の鬼門は「最初のフルシーズン」です。ただでさえ補強が遅れているなか、試行錯誤の時間が長引けば、昨季プレミアリーグで17位だったクラブが最下位に沈む可能性は充分。がんばってほしいと思いつつ、彼自身にとっても今季のプレミアリーグ全体をみても、最も難しい椅子を選んでしまったのではないかという気がしてなりません。モイーズ新監督は、残留というミッションを達成することができるでしょうか。昇格組のバーンリーとミドルスブラには、上にいかれてしまいそうですが…。

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“帰ってきたデヴィッド・モイーズ!難易度が高いサンダーランド残留を達成できるか!?” への4件のフィードバック

  1. yuto より:

    モイーズ監督はユナイテッドでの仕事から評価が落ちていますが、自分はエヴァートンを率いていたときの厄介なチームをつくる印象の方が強いです。(ユナイテッドのときを忘れたいわけではなく 笑)
    厳しい状況からのスタートで大事なのは選手からの求心力でしょう。
    ユナイテッドのときはリオやヴィディッチらベテラン勢からなめられていた様子ですし、その状況になればうまくいかないのは当然です。

  2. グローリーグローリー より:

    日本のアホなメディアが天才モイーズがプレミア復帰とか馬鹿にした見出しを立ててますが、ユナイテッドに来る前のモイーズは紛れもなく天才だったんですよね。サンダーランド楽しみですね。ユナイテッドの若手もたくさんレンタルで獲得して育てて欲しいです

  3. おハム より:

    モイーズでも、サンダーランドの残留は厳しいと思いますが、プレミアを代表する1監督が復職するのは嬉しいですね

  4. mufc7 より:

    手強く堅いチームを作るモイーズのイメージがついてます。日本メディアは香川を粗末にされてバカにされてますが、守備を第一に考える監督にとってはフィジカルがなく頭のいいディフェンスもできなかった彼とマタでは比べようがありませんでした。彼は必ずサンダーランドを堅いチームにするでしょうね。

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