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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

忘れえぬ1年。マンチェスター・シティの苦闘の軌跡を振り返る。

パンデミックによって、無観客とタイトなスケジュールを強いられたイレギュラーなシーズン。3度のプレミアリーグ制覇のなかでは、最も苦しかったシーズン。リヴァプールに独走を許した昨季から、鮮やかに巻き返したシーズン。クラブ史上初のCLファイナル進出を果たし、勝ち切れば最高となるシーズン。マンチェスター・ユナイテッドがレスターに敗れたため、プレミアリーグのトロフィーを奪還したペップ・グアルディオラの表現は「like no other」「the hardest one」でした。

他に類をみない、しかし苦しかった…。8月中旬まで前のシーズンのCLを戦い、ぶっつけ本番のようなスケジュールで新たなステージを迎えたマンチェスター・シティは、開幕からのプレミアリーグ8試合を3勝3分2敗というスロースタートとなりました。1週遅れで開幕戦を迎えたため、消化試合が少なかったとはいえ、9節のポジションは13位。勝ち点20で並んでいたトッテナムとリヴァプールに8ポイントの差をつけられており、優勝争いに加わらないままシーズンを終えてしまうかもしれないともいわれていました。

長いシーズンの勝ち方を熟知しているダヴィド・シルヴァがチームを離れ、絶対的エースのセルヒオ・アグエロは度重なる負傷でトップフォームに戻れず。8節終了時は、10ゴール11失点という信じられないスタッツにあえいでいました。快進撃のきっかけとなったのは、マフレズのハットトリックで5発圧勝のバーンリー戦でした。そこからのプレミアリーグ19試合は17勝2分で、14節のセインツ戦から15連勝!トッテナムに2-0で完敗してから、マンチェスターダービーで敗れるまでの無敗の季節は、40ゴール6失点という文句なしの数字を残しています。

優勝を手繰り寄せたターニングポイントは、デブライネが不在だった1月からの5試合。とりわけ大きかったのは、リヴァプール戦とトッテナム戦の連勝です。昨季王者に1-4で勝ったゲームは、フォーデンが偽トップ。ジョゼ・モウリーニョのチームに3-0でリベンジを果たした一戦は、ガブリエウ・ジェズスを最前線に据えていました。ライバル連破の立役者は、2戦連続2ゴールのイルカイ・ギュンドアン。12月のWBA戦から、原因不明の無双状態に突入したベテランMFは、プレミアリーグ12試合で11ゴールという出色のスタッツを記録し、デブライネとアグエロの穴をまとめて埋めてしまいました。

アグエロがいなければジェズスがエースかと思いきや、デブライネ、フォーデン、ベルナルド・シウヴァが当番制のように偽TOPを担当。前線の得点力は落ちたものの、ルベン・ディアスが統率する守備が鉄壁で、終盤のスターリングの不振も全く気になりませんでした。堅守のキーマンとなったルベン・ディアス、相棒に刺激を受けて復活したジョン・ストーンズ、得点力を高めたフォーデン、プレイエリアを広げてゴールを連発したギュンドアン、サイドから中盤に加わりパスセンスのよさを見せつけたジョアン・カンセロ。昨季より向上した要素を並べてみると、中盤より後方が多いのがよくわかります。

MVPをひとり選ぶとすればルベン・ディアスですが、今季のマンチェスター・シティはチームの勝利であり、守備の強化と流動性の高いフォーメーションを実現したペップを称えたいと思います。アグエロを欠いても、スターリングがいなくても、デブライネを失っても彼らは最強でした。最後に、優勝が決まった直後の指揮官の言葉を紹介して、この稿を締めさせていただきます。

「このシーズンとプレミアリーグのタイトルは、他に類を見ないものだ。最も困難なシーズンだった。今回の優勝への軌跡を忘れないだろう。こんなチームの監督であることと、選手たちを誇りに思う。彼らはとても特別な存在。さまざまな制約や困難に直面しながらも、一貫性を持って戦い抜いた。そこには、絶え間ない努力があった。彼らは毎日、成功するために戦い、いつでも上をめざしていた。とても、とてもたくましい」(ペップ・グアルディオラ)

プレミアリーグ2020-21シーズンの優勝、おめでとうございます!


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“忘れえぬ1年。マンチェスター・シティの苦闘の軌跡を振り返る。” への3件のフィードバック

  1. アイク より:

    早速の振り返りありがとうございます!!
    シーズン中にこれほど変幻自在にチームを再編できるものなのかと、驚愕しました。コンパニ、フェルナンジーニョ、ダヴィドシルバの穴どころか、昨季までの絶対的スタメンを欠いても攻守揃って最強。
    FFPを回避できて本当に良かったです。
    この歴史的なチームにぜひビッグイヤーを。

  2. ペップの街 より:

    ディアス加入とストーンズの成長にラポルトとCBは3人で回すことができ安定してましたね。ご指摘の通りダヴィ・シルバの退団やデ・ブライネの離脱にもフォーデン、ギュンドアンが見事に活躍して連勝に貢献しました。あとはビッグイヤーの獲得あるのみ。でも、全てやり遂げてもペップはシティに留まるのでしょうか。

  3. のこ より:

    この状況で勝てるチームを仕上げたペップやスタッフ、選手は素晴らしいの一言ですね。お隣のクラブのファンとしては悔しさもありますが、ふさわしいチームがタイトルをとったのだと認めざるを得ません。

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