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ゴール嫌いの絶対王者、今季も独走!プレミアリーグ2020-21シーズンのドリブル王ランキング!

先ほど、プレミアリーグ2020-21シーズンのMVP候補10人を紹介させていただきましたが、こちらでは「ドリブル王争奪戦」という味わい深いランキングを取り上げたいと思います。毎週、秘かにチェックしているスタッツなのですが、他の指標では出てこない名前が続々と登場するディープな世界。5位まで見ると、必ずいるのが「足元は器用、しかしプレーヤーとしては不器用」なタイプです。

例えば、2019-20シーズンに4位にランクインしたエミリアーノ・ブエンディア。降格したノリッジで孤軍奮闘のMFのスタッツを見ると、36試合1ゴール7アシストと記されています。1ゴールという数字が目に入った瞬間、思わず「フッ」と息がこぼれ、そしてひとこと、吐き捨てるようにつぶやくのであります。「もっとゴール決めんかい!」。ボールタッチやラストパスは素晴らしいのに、自分で打つとなると????な選手が多いのも、ドリブル業界の特徴のひとつです。

さて、いよいよ、ランキングの紹介に移らせていただきますが、2020-21シーズンの順位に触れる前に、近年の歴史をおさらいしておきましょう。「Whoscored」のアーカイブにある1試合あたりのドリブル成功数を見ると、2014-15シーズンのTOP5はアザール、チェンバレン、ヴィクター・モーゼス、アレクシス・サンチェス、コウチーニョ。2015-16シーズンは、ザハ、マフレズ、アレクシス・サンチェス、ロス・バークリー、ボラシェです。モウリーニョのチェルシーが崩壊してアザールが絶不調、レスターのマフレズが奇跡的な優勝の立役者となったシーズンだったとわかるランキングですね。1位のザハはプレミアリーグ34試合2ゴール1アシスト…「フッ」。

2016-17シーズンは、あの男がドリブル業界に殴り込みをかけてきたメモリアルなシーズンです。1試合あたり5回成功という素晴らしいスタッツを残したのは、ミドルズブラにいたアダマ・トラオレ。右サイドからのドリブルで3人4人とあっさりぶっちぎるのに、GKが視界に入った瞬間、ラストタッチが長くなってしまうシーンを何度目撃したことか。27試合に出場しながらノーゴールだった不発の核弾頭は、チャンピオンシップで1年過ごした後、2018-19シーズンにウルヴスに鞍替えして上位に復帰しています。

2016-17シーズンに3位だったアザールは、2017-18シーズンに3年ぶりに首位奪還を果たし、ザハは2位。2018-19シーズンもアザール、ザハのワンツーとHZ時代が続きました。2016-17に4位だったブファルは24試合1ゴールでアシストなし。翌年、3位に食い込んだアルトゥール・マスアクは27戦ノーゴール3アシスト。「トラオレ枠」はしっかり引き継がれ、2018-19シーズンに5位で復帰を果たしたご本人は、1ゴール1アシストと業界の期待に応えました。

2019年の夏に、王者アザールが勇退。ちなみに、フットボールの世界では「移籍」というそうです。2019-20シーズンを制したのは1試合あたり5回と切れ味を取り戻したアダマ・トラオレですが、4ゴール9アシストという数字を見ると、称賛よりも寂しさがこみ上げてきます。2位はニューフェイスのサン=マクシマンで4.7回、3位のザハは4.3回。4位ブエンディアの下にいるマイケル・アントニオは10ゴール3アシストで、前年に17ゴール10アシストなのに3位に入ったラヒム・スターリングと同じ世界の住人のようです。

さて、大変長らくお待たせいたしました。2020-21シーズンの途中経過を発表いたします。1位は1試合あたり4.2回、成功数115回のアダマ・トラオレ!ラウル・ヒメネスがリタイアしたウルヴスで、28試合ノーゴール1アシストは、縦、縦、縦とゴールを嫌うかのようなこだわりがなければできない芸当です。フットボールでは手段のひとつであるドリブルは、やはりこの業界では目的なのか!? 2位はサン=マクシマンで、TM時代の幕開けの予感。3位のザンボ・アンギッサは中盤センターからのチャレンジで、トータル本数では2位アンギッサ、3位ルックマンとフラム勢が躍進しています。

注目すべきは、前年の16位から4位にジャンプアップしたジャック・グリーリッシュです。2019-20シーズンは8ゴール6アシスト、今季は既に6ゴール10アシストと目に見える数字を残しているヴィラのキャプテンの真骨頂は、抜き去るドリブルではなく「誘うドリブル」です。「マーカーを引き付ける」「パスコースを創る」「ミドルレンジから打つ」といった邪道…いや、狙いがある危険なドリブルが多いため、アザールと同様にファールを受ける回数が多いのが特徴です。昨季はザハを47も上回る167回、今季はマネを36も引き離す100回でぶっちぎりのNo.1。フットボールの世界とドリブル業界の橋渡し的な役割を担う稀有なキャラとして、今後も注目すべきでしょう。

以上、不定期の業界レポートを納品させていただきます。数年度にアダマ・トラオレのポジションを脅かしそうな若手の注目株は、出番が増えれば脅威になりそうなクリスティアン・プリシッチ、トータル成功数62回でU-21ではNo.1のトラオレの同僚ペドロ・ネト、バーンリーのアタックを活性化するドワイト・マクニールといったところでしょうか。ついつい盛り上がり、長くなってしまいました。次は、シーズン終了後の業界総括でお会いしましょう。


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