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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ベンテケ、ウォルコット、ソン・フンミン…今季プレミアリーグに復活を賭ける男たち【後篇】

「ヘンダーソン、フェライニ、マティッチ…今季プレミアリーグに復活を賭ける男たち【前篇】」より続きます。前篇では、ポジションが変わって新しい魅力を披露している選手を紹介しましたが、こちらは「環境変化で自信回復した選手たち」を取り上げさせていただきます。

プレミアリーグ31試合6得点。数字だけ見れば、ラヒム・スターリングのマンチェスター・シティ1年めは悪くはありませんが、6ゴールの半分は9節のボーンマス戦で達成したハットトリックで、サイドアタッカーとして決める力に欠けていたといわれても仕方がありません。4900万ポンドという高額の移籍金ゆえにプレッシャーが厳しく、ペジェグリーニ監督のサッカーへの理解度も高いといえなかったスターリングは、2016-17シーズンになると一変。ペップ・グアルディオラから明快なコンセプトと絶大な信頼を得て生まれ変わりました。決定機を外し続けていた昨季の姿は影を潜め、ゴール前でDFやGKを翻弄しながら放つシュートはまるで別人。今季プレミアリーグでは6試合3ゴールと、自身初の2ケタが望めるロケットスタートです。

「スターリングを支援したい。適切なポジションにいればボールをもらえると伝えている。その後は、彼の力だ」と語るペップにスターリングがいかに心酔しているかは、活躍した試合後のコメントに触れればよくわかります。「生まれ変わったという言葉は、よく見かけるよ。最初の年は、適応するのが難しかった。でも、グアルディオラは僕に前へ進む権限を与えてくれている。あまり背後にスペースをつくるなともいわれるけどね(8月29日、ウェストハム戦)」「僕たちに自信を持たせ続けてくれる。モチベーションが高まる彼の話はすごくいいんだ。みんな、勝ち続けるために本当にハードワークするようになったね(9月24日、スウォンジー戦)」。スターリングは、試合を重ねるごとに運動量が増え、得意のドリブルが目立つようになりました。今のテンションが下がらなければ、彼にとって最高のシーズンになるでしょう。

スターリング同様、環境が変わって覚醒したといえば、即座に名前を挙げたいのがアーセナルのウォルコットです。こちらの変化は、指揮官ではなく相棒でした。プレミアリーグ開幕節のリヴァプール戦、次のレスター戦では完全に不発だったアレクシス・サンチェスのワンントップは、エジルの合流とウォルコットの覚醒によって大きく変わりました。アレクシス・サンチェスがボールがもらいに下がってくると、ウォルコットはラインの裏へ。カウンターではキープ力のあるアレクシスが持つと、14番は相手が最も嫌がるところを見つけて走り込みます。1年前、ワントップでプレイしたいとアピールし、空回りした選手とは思えないクレバーなプレイを披露し続け、こちらも6試合で3ゴール。3シーズン連続で5ゴールに終わっていたサイドアタッカーは、もう5試合もすれば「いつもの数字」を軽く超えてしまいそうです。蓋を開けてみれば、快速アタッカーを残してウィルシャーとジョエル・キャンベルを出したヴェンゲル監督のプランは適切だったといわざるをえません。

リヴァプールに移籍した初年度、プレミアリーグ9ゴールとまずまずの数字を残したベンテケは、クロップ監督のサッカーには合わないとクラブを追われ、欧州の大会とは縁のないクリスタル・パレスで戦うことになりました。3節のボーンマス戦からシーズンをスタートさせたベンテケは、競り勝ったミドルズブラ戦で先制ゴール、サンダーランド戦の追加タイムに決勝ゴール、エヴァートン戦で勝ち点1を拾う同点ゴール。すべてヘディングの3発で、勝ち点7に貢献しています。両サイドのタウンゼントとザハから素晴らしいボールが出てくるクリスタル・パレスなら、ベンテケは滞空時間の長いヘディングとアクロバティックなボレーでゴールを量産するでしょう。自分の力が求められているチームに招かれた選手は、チャンスを冷静に活かせるようになります。リヴァプールでGKとの1対1を外しまくった姿は、今季は見なくても済むのではないでしょうか。

3戦4発とブレイク中のトッテナムのソン・フンミンは、自身の調子のよさにハリー・ケインの不在が重なり、さらにゴール数を伸ばしてくるものと思われます。スターリングと同じく、ドリブルで積極的に仕掛ける姿勢が目立つ韓国代表のアタッカーは、シュートの精度が神がかり的に高く、決めれば自信がつき、自信によってプレイの質が上がるという好循環。相性のいいラメラに加えてエリクセン、デル・アリ、エリック・ダイアー、デンベレといいパスをくれるMFが多いチームだけに、ワントップやフィンセント・ヤンセンとの2トップでもゴールセンスを発揮してくれそうです。

最後に。海外で復活した選手をひとり、今後、復活してほしい選手をひとりピックアップしたいと思います。リーグアンで首位に立つニースで、2試合4ゴールと爆発したのはマリオ・バロテッリ。ヨーロッパリーグでもゴールを決めたストライカーは、無償で手離したリヴァプールを見返すべく着実に数字を伸ばしています。ジョン・ストーンズとオタメンディを見慣れたマンチェスター・シティで、コンパニは復活できるでしょうか。昨季プレミアリーグで14試合にしか出られなかったCBは、新しいシーズンも負傷で苦しんでいます。ひと頃はプレミアリーグNo.1といわれたキャプテンの復活があるかないかで、ペップのプレミアリーグとチャンピオンズリーグの最終着地は変わるかもしれません。無理をせず治していただき、後半戦のエティハドで素晴らしいディフェンスを魅せてくれることを願ってやみません。

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“ベンテケ、ウォルコット、ソン・フンミン…今季プレミアリーグに復活を賭ける男たち【後篇】” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    かつてのレッズ組が復活の狼煙を上げてますね。私はその中でもベンテケはパレスに移籍して本当に良かったと思います。
    ヴィラ時代のベンテケは手がつけられない程すごかったので、この復活はうれしくもあり、監督や戦術の相性は大事ですね。
    もちろん彼はレッズ戦は燃えるでしょうね、、、お手柔らかに、、、。

  2. ミハル より:

    キャンベルを出してなぜウォルコットを残した。
    私は当初思ってましたが、ボスの目は間違ってなかったのですね。

  3. makoto より:

    Mackiさん>
    ヘディングの強さとアクロバティックなボレーは脅威ですね。ズラタンとの「直接対決」も楽しみです。

    ミハルさん>
    私もそう思ってました。ジョエル・キャンベルの役割は複数の選手が担えるけれど、縦に速い選手は少ないので残しておきたかったということなのでしょうね。

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