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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

確かにカードは多いけれど…。酷評も聞こえるフェライニ&ジャカですが、意外とよくやってます!

「ばかげている」という現地紙の表現には、黙ってうなずくしかありません。木曜日に行われたプレミアリーグ26節の延期試合、マンチェスターダービーでマルアン・フェライニがしでかした「19秒の狼藉」のお話です。82分にアグエロのシャツを引っ張ってイエローカードをもらっていたベルギー代表MFは、おそらく何らかの挑発を受けたのでしょう。直後、怒り冷めやらぬままアグエロを後ろから引っかけて倒すと、立ち上がったストライカーに頭突きを見舞い、一発退場。自らステージを降りたとしか思えないご乱心の結末に、怒りを通り越して唖然としているサポーターが多かったのが印象的でした。ズラタン、ポグバ、マタらが負傷でチームを離れ、プレミアリーグとヨーロッパリーグの両立が難しくなっているチーム状況はわかっているはずです。週末のスワンズ戦に加え、アーセナル、トッテナムと続くアウェイゲームまで失うであろうフェライニには、猛省していただかないといけません。

とはいえ、一方で今季のフェライニには感謝しており、一部から聞こえてくる酷評に対しては、見た目やプレイのイメージで過少評価しているのでは?となだめたくなります。足元がうまいとはいえないことと、ラフプレーの多さが彼の評価を下げる2大ポイントでしょう。今季プレミアリーグでイエローカードを9枚以上もらっている20人のなかで、最も出場時間が少ないのがフェライニなのは事実です。1524分で9枚ということは、2試合フル出場すれば必ず1枚いただくハイペース。マンチェスター・ユナイテッドサポーターなら、1点リードを守り切ろうとしているゲームで、自陣でファールをしてしまう長身のMFにハラハラさせられたのは1度や2度ではないでしょう。イギリスメディア「Squawka」によると、フェライニのパス成功率は86%、前に出したパスの比率は73%、デュエル(1対1の奪い合い)の勝率は52%。これらの数字は同僚のキャリックをすべて下回っており、カップ戦で2ゴールもプレミアリーグでは1ゴール0アシスト。数字を見ると、フェライニ不信の方々を翻意させるために使える材料はほとんどありません。

しかし、モウリーニョ監督はフェライニを買っており、シュナイデルランやシュヴァインシュタイガーは放出しても、器用とはいえないMFは使い続けています。彼の最大の長所は、「与えられたミッションに対して忠実」であること。以前はマークを外すシーンが目立っていたフェライニは、モウリーニョ監督のチームではスペースをしっかり埋めてくれるようになり、レギュラーとなった直近7試合はわずか2失点の堅守に貢献しています。ヨーロッパリーグのアンデルレヒト戦では、最前線でハイボールを味方に落とすという役割を果たし、ラシュフォードの決勝ゴールをお膳立てしました。前線から中盤の底まで、さまざまなポジションで要望に応えられるMFに対して、クラブは契約を1年延長できるオプションを行使。モウリーニョ監督の下で出場機会を増やしたフェライニは、来季も重宝されるのではないかと思われます。

そしてもうひとり、「カードが目立つMF」といえば、グラニト・ジャカです。今季のプレミアリーグでレッドカードを2枚もらっているのは、フェルナンジーニョ、ブリトスと彼だけ。冷静さを失うと、無理な状況から危険なタックルを仕掛ける癖があり、その悪しき印象から評価を下げるサポーターもいるようです。

しかし、数字をつぶさに見ると、プレミアリーグ初年度のジャカがチームに対する貢献度が高いのがよくわかります。「Squawka」によると、今季プレミアリーグで1試合あたりのパス本数が最も多いのはジャカで、ヘンダーソンやヤヤ・トゥレ、エレーラを上回る74.3本を記録しています。パス成功率は89%と高く、ロングボールの成功数135はヘンダーソン、アルデルヴァイレルト、エリック・ダイアー、ポグバに続く5位。タックル数69はモンレアルと並んでチームTOPで、プレイ機会が多いゆえにファールが目立つという面もあるでしょう。今後は、6つのアシストを決めているマティッチのように、攻め上がって決定的なパスを出す機会を増やしていただければ、サポーターの満足度はさらに上がるでしょう。カソルラの後継者として、2年めの大活躍を期待しています。

冷静さを欠いてやってしまうラフプレーについては、くれぐれも自制していただかないといけませんが、ジャカもフェライニもチームプレー志向が強く、得難いタレントであることは間違いありません。先日のような退場劇があると非難が集まり、ともすると不要論まで聞こえてきたりしますが、気持ちの強い選手たちならではの好プレイもしっかり見てあげたいと思うのです。今季をいい形で締めていただき、次のシーズンは一段スケールアップしたプレイを見せていただければと楽しみにしています。

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“確かにカードは多いけれど…。酷評も聞こえるフェライニ&ジャカですが、意外とよくやってます!” への5件のフィードバック

  1. ルニキ より:

    同感です。フェライニについては、確かに数字的に物足りない部分はありますし、最高の選手だと言うつもりはありませんが、あまりに低評価すぎるのでは思っていました。
    特にデヘアからのロングボールをピッチ中央辺りでマイボールにしてくれるのは、チームのビルドアップで非常に助かっています。デュエルの勝率は多少気になりますが、パス関連はプレースタイルを考えればそんなものでしょう。
    絶対的なレギュラーとしてではなく、チームのオプションとしてみれば、世間で言われるほど不必要だとは思いません。

  2. おはむ より:

    フェライニはとても評価している立場です。
    190cm以上の体格を持ち、あの運動量、加えて 経験からくる 前を向く意識や攻撃意識
    フェライニは変えのきかない選手です。
    世界に あの体格と運動量をもって ボランチの攻守をこなせる人は他にポグバだけだと思っています。
    そのくらい評価しています。
    しかし、彼は感情的すぎです!笑
    人間科学の観点から、人は感情的な人を嫌いやすい傾向があるので このような傾向になるのは納得です。ただ、感情だけで不要だとかは納得できません。チェルシーのコスタと比較するといいです。
    彼は、ポジションがFWなので点を取れば許してもらっているようですが、ボランチの選手は彼のようにわかりやすい目に見える結果を出せません。
    フェライニは非常に良い選手なんですけどね…

  3. スパーズ推し より:

    内容は興味深いと思いつつ、しかしフェライニの評価は変わりません。
    オプションとしての一定の評価は分かりますが、ボランチとしてはやはり物足りなく感じます。

    現代のボランチは縦パスとスペースを埋めると言う仕事はほぼ必須で、そこから+αの力が評価されるという所。
    特別な事情が無い限り、攻守に動ける、監督の要求に応えると言うのは
    強豪チームならば評価ポイントではなく必要条件ではないでしょうか?

  4. makoto より:

    ルニキさん>
    ありがとうございます。キャリックよりもデュエルの数字はとく、タイプの違うセントラルMFがいるのはポジティブなことですよね。

    おはむさん>
    監督のオーダーに対するコミットメントの高さ、適応力が素晴らしいと思います。

    スパーズ推しさん>
    「監督の要求にうまく応えられない選手(あるいは組み合わせ)」は、結構多いのではないでしょうか。マンチェスター・ユナイテッドでいえば、ルーク・ショー、マルシアル、スモーリングは消化不良気味です。モイーズ、ファン・ハール、モウリーニョというスタイルが大きく違う3人がそれぞれに評価したのは、素晴らしいことだと思います。

  5. makoto より:

    ルニキさん>
    ありがとうございます。キャリックよりもデュエルの数字はとく、タイプの違うセントラルMFがいるのはポジティブなことですよね。

    おはむさん>
    監督のオーダーに対するコミットメントの高さ、適応力が素晴らしいと思います。

    スパーズ推しさん>
    「監督の要求にうまく応えられない選手(あるいは組み合わせ)」は、結構多いのではないでしょうか。マンチェスター・ユナイテッドでいえば、ルーク・ショー、マルシアル、スモーリングは消化不良気味です。モイーズ、ファン・ハール、モウリーニョというスタイルが大きく違う3人がそれぞれに評価したのは、素晴らしいことだと思います。

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