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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.UTD×West Ham】マンチェスター・ユナイテッドらしさにあふれた、シブすぎる3ゴール

隣町(といっても1時間くらい電車に揺られますが)のアンフィールドで、リヴァプールが3-1で勝ったのに続き、マンチェスター・ユナイテッドが、プレミアリーグでは久しぶりのホーム勝利を同じく3-1で飾りました。スコアは同じですが、いけるときに派手に攻勢をかけて3点をもぎ取り、後半休んだリヴァプールの若さあふれる試合運びとは違って、こちらは淡々と着実に終始、圧倒。先日のキャピタルワンカップでトッテナムを沈黙させたのが嘘のようなウエストハムのおとなしさも手伝って、安心して観ていられるゲームでした。

この日のマンチェスター・ユナイテッドのスタメンは、前節同様ウェルベック、ルーニー、ヤヌザイ、バレンシア。香川真司は、ベンチスタートが続きます。モイーズ監督の起用はシンプルで、「好調な選手」「疲れていない選手」が優先。活躍したメンバーがフレッシュで、勝ち続けていればとことんまで同じ顔ぶれで通します。そのなかで香川真司が出られないのは、言葉は厳しいですが、自業自得といわざるをえません。シーズン半年で、風邪と腹痛という「外傷以外のトラブル」で2度も出場チャンスを失ったことについては、プロとしてどうなのかといわれても仕方がありません。しかも、今季ここまで無得点。このうえ、プレミアリーグでの先発のポジションを取りたければ、少ないチャンスを活かして「好調な選手」のリストに名を連ねる以外に手立てはありません。

さて、ゲームは序盤からホームチームのペースです。2分にさっそく、CKのこぼれ球をペナルティエリア内にいたクレヴァリーがシュート。これはヤースケライネンを差し置いてゴールマウスを守るGKアドリアンがブロックしますが、その後もボールを支配するのはマンチェスター・ユナイテッドです。ルーニーのFK、19分のバレンシアの強烈なシュートと、たびたびアドリアンを脅かしますが、ゴール前に引きこもるようにして守るウエストハムは、なかなかゴールを許してくれません。

しかし26分、いかにもマンチェスター・ユナイテッドらしい抜け目のない攻撃から、試合を決定づける先制点が決まります。中盤でのファールからの早いリスタートですかさず前線にパスを送ると、ウエストハムの対応は後手にまわり、ウェルベック、ルーニー、ウェルベックとつないで最後は好調をキープする19番の文句なしのシュートが右のサイドネットを揺らします。ラスト10分になるまで、消極的なプレイを変えることができなかったウエストハムには、この1点は効いたでしょう。36分にも左でのウェルベックのチャンスメイクからヤヌザイがペナルティエリア左でボールを受け、切り返しを入れて右足でゴール。その後もマンチェスター・ユナイテッドの優位はみじんも揺るがず、前半を2-0で折り返します。

今のマンチェスター・ユナイテッドは、ウェルベックとバレンシアがとにかく好調。中堅以下のクラブに対してはサイドで圧倒的な攻勢を仕掛け、簡単にチャンスを作り出します。後半に入っても状況は変わらず。エヴァンスの惜しいヘッドなど、3点めの予感を醸し出し続ける自軍のアドバンテージを確信したモイーズ監督は、足を気にする素振りをみせたウェルベックをチチャリートに代え、さらにリードを広げにかかります。

3点めが決まったのは、72分。右からのバレンシアのクロスをルーニーが落とすと、ペナルティエリア左から入ってきたのは、3分前にヤヌザイと代わって入っていたアシュリー・ヤング。右足でカーブをかけてゴール右上を狙うシュートは、これまで何度となく得点を重ねてきた彼の十八番です。3-0となり、勝利を確信したマンチェスター・ユナイテッドが手綱を緩めてからは、カールトン・コールがGKと1対1を決めるなど、ウエストハムの逆襲がありましたが、大勢は変わらずタイムアップ。この日の3点は、アンチクライマックスといえばいいのか、派手なテクニックや美しいパスワークがどこにも見当たらない、いずれもシブすぎるゴールでした。マンチェスター、シティ、リヴァプールらプレミアリーグ上位クラブがなかなか負けず、差が詰まりませんが、連覇の希望を消さないためには、こうして勝利を積み上げていくほかにありません。

最後に、ひとつだけ。冒頭、香川真司がなぜ試合に出られないかについて触れたのは、最近「香川は移籍したほうがいい」という、ややもすると感情的な記事や投稿を目にする機会が多いからです。私は、「スタメンへの扉は閉じていないので、このままここでがんばってポジションを奪回せよ」と思っています。移籍というのは、「求められて引き抜かれる」という形でなければダメで、「不要の烙印を押されて」「出場機会を求めて」「今よりもランクの低いクラブへ」出ていった選手が幸せになれないのは、ベルバトフやジョー・コール、パク・チソン、キャロルらを見ていれば明らか。ましてや24歳の選手がやることではありません。

その昔、中田英寿がトッティとのトップ下争いに敗れてわずか1年半でパルマに移籍したときも、「安易にチームを出るのはマイナス。ここは我慢して、どのポジションでもいいから試合に出続け、移籍するなら次はユヴェントスやミラン」だと思っていました。ただでさえ、移籍には大きなリスクが伴います。ましてやチームが固まっている1月はより大変で、出ていったはいいが、フィットするのに時間がかかり、無難なプレイしかできずにベンチに塩漬け、などという話はそこかしこに落ちています。ウェルベックにアクシデントがあったようなので、プレミアリーグ次戦のハル・シティとのアウェイ戦は、香川真司に出番がまわってくるでしょう。そこで得点という目にみえる結果を出して、いま一度スタメンを取り戻してほしいなと思います。大丈夫。1ヵ月前は、間違いなく左サイドのファーストチョイスだったのですから。

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