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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Leicester×Chelsea】わずか2分の天国と地獄…ピンチをしのいだチェルシーが結局完勝!

ロメウ・ルカクは開幕から4戦4発で、目下のところプレミアリーグ得点王。早期のフィットが危ぶまれたアルバロ・モラタは、ルカクに迫る3ゴールを挙げ開幕戦でつまづいたチェルシーの立ち直りに貢献しています。縁とタイミング次第で、所属チームが逆になっていたかもしれない2人のストライカーは、それぞれにとっていいチームに収まったのではないでしょうか。前線でターゲットマンとしてボールをさばき、カウンターのスイッチにもなるルカクは、ムヒタリアンに常に居場所をわかってもらっています。片やプレミアリーグ初年度のモラタがスムーズになじめそうなのは、チェルシーに同郷のスペイン人選手が多いということも大きいでしょう。テクニックが高評価のストライカーながら、ここまでのゴールはすべてヘディング。最近の2発は、スペイン人CBアスピリクエタのピンポイントクロスによるものです。最終的に、より多くのゴールをゲットしたほうがプレミアリーグ制覇の立役者となる可能性も充分にあります。

さて、キングパワーでレスターを破り、プレミアリーグ3連勝となったチェルシーの戦いぶりを振り返ってみましょう。ストークにクリーンシートで敗れたアーセナル、ボーンマスにドロー寸前に追い込まれたマン・シティ、ストークに連勝を止められたマン・ユナイテッドとライバルたちの苦戦に共通しているのは、先にゴールを決められてしまったことです。アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドに善戦したレスターに先制されれば、相当てこずったはずのアウェイ戦のターニングポイントは、39分からの2分間でした。エンゴロ・カンテがイスラム・スリマニにボールを奪われ、レスターのお家芸のカウンター発動。自らが得意としていたプレイをやられたカンテは、アスピリクエタがヴァーディ&マフレズと2対1となっているのをフォローしようと戻りますが、15メートル先をドリブルで進むマフレズになかなか追いつけません。

このシーンの最初のヒーローは、絶妙なポジショニングでヴァーディへのラストパスを出させなかったアスピリクエタです。縦にいったら当たるぞ、パスを出したらカットするぞと牽制しながら、絶えず首を振ってヴァーディの位置を確認。マフレズの判断を遅らせたCBが、絶望的なピンチを勝負できる状況に変えました。中央でひとつフェイントを入れた瞬間、アスピリクエタをかわし切れないとみたマフレズは、右から上がってきたイスラム・スリマニに柔らかいラストパス。フリーだったスリマニのシュートコースをクロスと読んだのは、2人めのヒーロー・クルトワでした。ストライカーは、ゴールを重ねるごとに自信と余裕を得るものです。左のポストにはリュディガーが戻っており、クルトワを抜いたとしてもクリアされていたはずで、スリマニの選択したコースはノーチャンスでした。今季プレミアリーグ2ゴールの岡崎慎司が疲労を理由に休んでいなければ、空いていたニアに転がしていたかもしれません。

その1分後、左のマルコス・アロンソからパスを受けたバカヨコが、右にいたアスピリクエタに展開。28番がトラップした瞬間、モラタはシンプソンとウェズ・モーガンの間に入りました。前節のエヴァートン戦のリプレイを見ているようなシチュエーション。違うのは、モラタの位置がやや左だったことぐらいです。正確なボールが届くと、エヴァートン戦と同様にモラタの強烈なヘッドが左隅に刺さりました。1-0で終わっていたかもしれなかった前半は、0-1で終了。心理的にも優位に立ったチェルシーは、セカンドハーフの最初の5分で2015-16シーズンのプレミアリーグ王者を引き離します。

古巣のサポーターの前でリベンジされそうになったカンテは、50分に彼らを絶望の淵に追い込む完璧なミドルを叩き込みました。かすかなブーイングの後、右足を振り抜いたセントラルMFのシュートは左のサイドネットへ。シュマイケルの反応が遅れたのは、マグワイアの股間を抜けてきたボールが途中まで見えなかったからだと思われます。チェルシーの7番は、駆け寄ったモラタとハグをかわしただけで、ゴールセレブレーションはなし。勝負はこの1発で決まりました。レスターは、クルトワに倒されたヴァーディのPKで1点差に迫るのが精一杯でした。

カンテが持ち前の攻撃センスを活かせるのは、守備に長けたバカヨコとの連携ができてきたからでしょう。ヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソというプレミアリーグNo.1のWBコンビは健在。ヴィクター・モーゼスはよりゴールに近い中央でプレイする姿が目立ち、コンテ監督のWBという役割を完全に手のうちに入れています。モラタは結果を出し、ウィリアンとペドロはどちらが出てきても脅威。ここにアザールが加われば、今季もチェルシーはプレミアリーグの優勝争いをリードする存在です。ジエゴ・コスタに求められるのは、これ以上いい思い出を汚さないことだけになりそうです。相変わらず接戦に強いチームが、FAカップとコミュニティシールドで連敗を喫したアーセナルにスタンフォードブリッジで負ける姿は、今は想像できません。(エンゴロ・カンテ 写真著作者/@cfcunofficial (Chelsea Debs) London)

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“【Leicester×Chelsea】わずか2分の天国と地獄…ピンチをしのいだチェルシーが結局完勝!” への5件のフィードバック

  1. B より:

    あのアスピリクエタのポジショニングはしびれましたね。流れの中の動きでしたが、直接ボールに触らなくてもここまで相手を嫌がらせられるのかと思いました。
    あと、モラタはなんだかんだで数字残してくれますね。あまりボールの収まりも良いようには見えず、連携もうまくいってるとは思えませんでしたが、しっかり1ゴール。そろそろキックでのゴールも見たいですね笑

  2. makoto より:

    Bさん>
    しびれました。クロスにもしびれました。モラタは、数字を残せていることを支えに足元の技術で本領を発揮してほしいですね。

  3. nor より:

    更新ありがとうございます。いつもながら、ユナイテッド以外にも関わらず詳しく考察があり、記事が楽しみです。
    全体にイマイチでも、ギリギリで取りこぼさない勝負強さはコンテ流でしょうか。コスタ、マティッチの大きな不在は感じつつも、新戦力が案外馴染んできているのは朗報です。いよいよ始まるCLにどんな組み合わせで臨むのか、プレミア勢の躍動とともに期待したいです。

  4. 雨好 より:

    更新ありがとうございます。
    新加入組がしっかりと仕事をしてくれた試合でしたね。モラタは前半のうちにゴールを決めてくれる事が多く、先に先制して試合を纏めにかかる昨シーズンのパターンを体現してくれています。
    バカヨコはカンテより柔らかいボールタッチとボール奪取から素早い縦への推進力を何回も見せてマティッチにはなかった速さをチームに加えてくれました。ザッパは約15分程、ドリンクウォーターはまだですが期待していい存在だと思いますし、しっかりローテーションしていって貰いたいです。
    そして何よりアザールが帰って来ました!日程は色々ありますが期待感をもって見れそうです。

  5. テリーとチェルシー より:

    今節も勝ててよかったです!
    万全の岡崎がいたらもっと違う展開になっていた可能性も充分にありましたね。
    ベンチを見るとずっと層が薄いと言われてたとは思えない充実ぶりで、思わずほくそ笑んでしまいました笑

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