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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Sheffield United】戦術も交代策も失敗したランパード…実は幸運だった2-2ドロー!

試合が始まってから88分。スタンフォード・ブリッジに詰めかけたサポーターたちは、追加タイムがどのくらいあるのかが気になり始める頃でした。左サイドにいたノーウッドはプリシッチに中を切られ、優しさしか取り柄がない凡庸な縦パスをカラム・ロビンソンに預けます。後半の開始早々に、プレミアリーグ初ゴールを決めていた24歳のアイルランド人FWは、「持っていた」のでしょう。この試合の前半に、相手のミスに乗じて2発叩き込んだタミー・アブラハムのように。チェックしていたアスピリクエタがミスをしたとはいえませんが、「何としてもクロスを入れさせない」という気迫が感じられなかったのは確かです。

切り返しから右足で蹴ったクロスは、ゴールに向かってくる嫌らしいボールでした。走り込んできたリス・ムセは、ボーンマスにいた3シーズンでプレミアリーグ3ゴールに終わった23歳の伸び悩みアタッカーです。マークしていたのはクル・ズマ。ランパード体制となって、2年ぶりにチェルシーでポジションを得たCBは、足を出した以上は外にクリアしなければなりませんでした。リス・ムセは触れず、必死に伸ばしたズマの右足に当たったボールにケパは反応できず、右のサイドネットに吸い込まれた後も呆然と立ち尽くすだけでした。プレミアリーグ初勝利を挙げたノリッジ戦では、ペットボトルを握りしめて水をガブ飲みしていたフランク・ランパードは、腕組みをしたまま表情を変えず、歓喜する白いシャツの集団を見つめていました。

要塞スタンフォード・ブリッジで、プレミアリーグ昇格チーム相手に痛恨のドロー。試合全体を通じて勝ち点ロストの原因を探れば、「攻撃のバリエーションが貧弱で、タミー・アブラハムの個人技頼みだった」。試合展開を踏まえて語るなら、「ハーフタイムまでに築いた2点のリードを守り切れるだけの守備の強度がなかった」となります。6分にエメルソンのロングフィードを最前線で受け、2人のCBに囲まれながら前を向いたタミー・アブラハムは、19分に抜け目ない動きでブルーズに先制点をもたらしました。

プリシッチとロス・バークリーが仕掛けたショートカウンター。アスピリクエタのクロスを叩いたタミー・アブラハムのヘッドは弱く、GKヘンダーソンがキャッチして終わりかと思いきや、プリシッチの突進に慌てたGKが前にこぼしてしまいました。いち早く反応した21歳のストライカーが、右足のボレーで狭いコースを抜いて1-0。さらに43分、ジョルジーニョがロングフィードを前線に浮かすと、イーガンとオコネルがかぶってしまい、イーガンが頭に当てたボールがまたもタミー・アブラハムの前にこぼれます。容赦ない一撃がゴール左に飛んで2-0。ヘンダーソンは、右手で触るのが精一杯でした。

ハーフタイムで2-0。チェルシーサポーターは、若きストライカーのハットトリックや、メイソン・マウント、プリシッチらの追加点を夢見ていたかもしれません。しかし、ここで注目すべきは、前半のチェルシーが相手の守備を崩したシーンが1回しかなかったという事実です。ロス・バークリーとプリシッチ、コヴァチッチのパス交換で中央を突破し、コヴァチッチが左に外した37分のアタックが、チェルシーのMF陣が機能した唯一のチャンスでした。

後半開始50秒、左サイドのスティ-ブンズにアスピリクエタとジョルジーニョが着きながら、ベテランSBが股抜きを許して狙い澄ましたクロスがニアへ。ズマは下がり過ぎてカラム・ウィルソンを自由にしてしまい、右足インサイドの丁寧なボレーがケパの脇を破ります。それでも1点リードしていたチェルシーは、追加点を奪えば快勝していたはずです。55分、右からのクロスを拾ったアスピリクエタが、リベンジとばかりにスティーブンスをあっさりかわすと、タミー・アブラハムの決定的なボレーに、ヘンダーソンが右に掻き出すビッグセーブを見せ、プレミアリーグ3人めのハットトリックを阻止しました。

2点リードであれば、最後のカードが18歳のビリー・ギルモアでもよかったのだと思います。ウィリアンを入れても攻撃が機能しなかったチームに、テストなどする余裕はなく、経験値あるいは守備を落ち着かせる存在が必要だったのではないでしょうか。前線にジルー、フィカヨ・トモリ&ズマの若いCBコンビをサポートするクリステンセン。バチュアイ&ギルモアというランパード監督の大胆な采配は実らず、ショッキングな失点を喫してホームで2戦連続ドローという最悪の結果を招いてしまいました。

後方からロングボールをストライカーに送るのが最高のアプローチ…プレミアリーグ残留をめざすクリスタル・パレスなら、それもひとつの生き方ですが、TOP4をめざすチームの戦術ではありません。ウルヴス、バレンシア、リヴァプールと難敵が続くチームに、巻き返し策はあるのでしょうか。中長期的な強化を志向するランパード監督にとって、ここが最初の正念場です。

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“【Chelsea×Sheffield United】戦術も交代策も失敗したランパード…実は幸運だった2-2ドロー!” への2件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    解説の方が言ってましたが、ここ通れば!って所のあとちょっとのパスが通らないんですよね。ニューフェイスが5人も先発した新しいチーム状況上、時間かけて連携を深めるしか無さそうです。
    問題は守備です。ロストしてカウンター食らった時、相手FWにビビってライン下げまくっていたのは流石に驚きました。カンテいないのにカウンターであれだけスペース与えてたら前節のノリッジもそうですがそりゃ失点しますよね。
    第4節にして現実突きつけられてる感が凄いですが、ポジティブな要素も沢山あるので、これからどう修正するのかとても楽しみです。

  2. n より:

    ついにドログバの再来かと浮かれたのも束の間、後半の失速に落胆しました。
    明らかに先行逃げ切り型のチームなので、まずは3点取れればなんとか勝ち点を積めますかね、、
    リュディガーが帰ってくるにせよ、守備が劇的に改善することはないと思いますので。

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