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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Wolves×Chelsea】唯一の収穫はエンクンク。決定機を逃し続けたチェルシーに改善策はあるのか?

プレミアリーグにとって、28年ぶりとなるクリスマス・イブの開催。モリニューの一戦で、極上のプレゼントを受け取ったのはホームのウルヴスでした。先発のリストを見て、不安を覚えたブルーズサポーターが多かったのではないでしょうか。筋肉を傷めたエンソ・フェルナンデスと高熱のカイセドが欠場となり、中盤センターはコナー・ギャラガ―とウゴチェクです。

アルマンド・ブロヤとニコラス・ジャクソンを併用した狙いは何だったのか。ベンチにはムドリク、ノニ・マドゥエケ、エンクンクがいます。ターンオーバーはよしとしても、発展途上のチームが戦い方のベースを変えるのはリスキーです。キックオフは現地時間の13時。コール・パルマーとスターリングをサイドに配する4-4-2のようです。

プレミアリーグのシェフィールド・ユナイテッド戦と、カラバオカップのニューカッスル戦で連勝した布陣から、バディアシルが抜けています。GKペトロヴィッチの前に並ぶバック4は、マロ・グスト、ディサシ、チアゴ・シウヴァ、コルウィル。いろいろ気になるところはあれど、ポチェッティーノ監督のアイデアは悪くないと思わせる立ち上がりでした。

GKのパントをニコラス・ジャクソンが頭で流し、左のスターリングがカットインしたのは5分。逆サイドでラストパスを受けたアルマンド・ブロヤは、切り返しでトティ・ゴメスをかわし、左足で打とうとした瞬間、レミナにつぶされました。8分にスターリングのスルーパスでジョゼ・サの前に出たニコラス・ジャクソンは、追ってきたセメドに先に触られてチャンスを逸しています。

スターリングが右足アウトで、マロ・グストを走らせたのは12分。グラウンダーを足元に受けたアルマンド・ブロヤは打てませんでした。コナー・ギャラガーが右にまわったスターリングにパスを通したのは21分。ボックス左でアーリークロスを受けたニコラス・ジャクソンはフリーです。ボレーかと思いきや、トラップミス。前線の決断力・決定力も敗因のひとつでしょう。

29分のスターリングのFKはクロスバーを越え、31分のサラビアのFKは壁にヒット。この直後に、前半最大の決定機が生まれます。ジョゼ・サのパスを足元に収めたジョアン・ゴメスがスターリングに奪われ、3対0。右から並走したコール・パルマーとニコラス・ジャクソンはフリーだったのですが…。GKにコースを塞がれた7番のシュートは、判断ミスというべきでしょう。

39分には、ウルヴスにチャンス。セメドのクロスのクリアを拾ったレミナのシュートをファン・ヒチャンがトラップし、GKの右でフリーになりますが、振り向くのに時間がかかり、チアゴ・シウヴァに足を出されました。44分に自陣右からサラビアが出したロングフィードで、ボックス右に走り込んだファン・ヒチャンは、右足のボレーを打ち上げてしまいました。

ハーフタイムは0-0。ジョアン・ゴメスが放ったミドルがウゴチェクの手に当たり、左のポストをかすめた47分のシーンはVARが入らなかったようです。直後のCKが右に流れ、ジョアン・ゴメスがファーに浮かすと、トティ・ゴメスのヘッドはペトロヴィッチが右に弾き出しました。均衡が崩れたのは51分。サラビアの右からのCKを頭で合わせたのは、守備で奮闘していたレミナです。

53分にディサシのトラップミスをサラビアが突き、ドリブルで上がってファン・ヒチャンにグラウンダーを通した決定機も、後ろから抱えて倒したコルウィルにチェックは入らず。ポチェッティーノ監督は、58分にウゴチェクとアルマンド・ブロヤに代え、エンクンクとムドリクを投入しました。プレミアリーグデビューのエンクンクは、入って5分でゴールに迫ります。

ムドリクの縦パスで、ボックス左に流れたのはコール・パルマー。高く浮いたボールにジョゼ・サが触れず、中央で待っていたエンクンクの足元にボールがこぼれました。右足のシュートがジョアン・ゴメスに当たって枠に向かいますが、ゴールライン上にいたトティ・ゴメスがクリア。最終ラインが集中していたウルヴスは、66分のピンチもしのぎました。

左サイドのニコラス・ジャクソンから、コルウィル、エンクンク、コール・パルマーと横につながり、ラストパスがボックス右のスターリングへ。フリーのシュートがジョゼ・サの脇を抜ける寸前に、ドーソンがコースに飛び込みCKに逃れました。残り20分を守り切ればOKという目標ができたホームチームは、後ろに人数を揃えてスペースを埋めています。

80分にコルウィル、マロ・グスト、ニコラス・ジャクソンが下がり、ノニ・マドゥエケ、マートセン、バディアシル。82分のドイルのミドルは、ペトロヴィッチがセーブしました。ボックスにバスを停められる前に攻めたかったチェルシー。ドーソンの治療に費やした時間をカウントした追加タイムは11分。勝負を決する追加点が決まったのは93分です。

敵陣左サイドでノニ・マドゥエケから奪ったウーゴ・ブエノが、ジョアン・ゴメスとのパス交換でボックス左へ。グラウンダーに対応したバディアシルはかかとに当てただけで、ボールはドハーティーの前に転がりました。フリーの2番が冷静に右隅に流し込んで2-0。96分にスターリングのクロスをヘッドで決めたエンクンクは、デビュー戦ゴールを勝利につなげられませんでした。

タイムアップの笛を聞いた後、輪になって喜びを分かち合う黄色いシャツを見て、モチベーションとチームプレー志向が高いチームが勝ったのだと思いました。ポチェッティーノ監督のチームは、アルマンド・ブロヤを活かすという意思統一ができておらず、優柔不断だったニコラス・ジャクソンと強引すぎたスターリングが何度もチャンスを逃してしまいました。

好不調の波が激しい選手が多いから、戦績が安定しないのか。一部の軋みが全体に伝播して、個々の不調を生んでいるのか。指揮官としては、メンバーを固定して戦術の熟成を図りたいところですが、ベンチが定位置となった若手のストレスを考慮すると、出番を与えないわけにはいきません。このままジレンマを抱えながら、少しずつ改善を図るしかないのでしょうか。

エンクンクを攻撃の軸に据え、コール・パルマー、エンソ・フエルナンデス、カイセド、コナー・ギャラガー、ラヴィアで中央を強化する以外に、これといったアイデアは浮かびません。6位ハマーズまで8ポイント。ここで踏ん張れなければ、2年連続で欧州へのチケットを逃すという結果で終わりそうです。新機軸が空回りした指揮官の次なる策に注目しましょう。


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