2026.09.06 プレミアリーグ観戦記2026-27プレミアリーグ観戦記
【Nottingham Forest×Tottenham】3戦連続ノーゴール…スパーズの補強、起用、采配は妥当なのか?
ウナイ・エメリのアストン・ヴィラもノーゴール、5失点、1ポイントと数字は同じですが、事情は真逆といっていいでしょう。昨季のヨーロッパリーグを制し、プレミアリーグでTOP4に食い込んだチームは、夏のマーケットで大量に主力を失っています。オリー・ワトキンス、モーガン・ロジャース、ティーレマンス、ディーニュ、コンサ…こちらの出遅れはやむなしです。
アーセナル戦は最少失点の惜敗で、ハル・シティ戦は決定機を活かせばOKだったヴィラのほうが軽症に見えます。狙い通りの新戦力を押さえたはずのスパーズは、ブレントフォードに3-0の完敗、トナーリとブルーノ・ギマランイスを抜かれたニューカッスルにホームで0-2。フォレスト戦は、ネコ・ウィリアムズのゴールが取り消しにならなければアウトでした。
ここからは、シティ・グラウンドのアウェイゲームを振り返りましょう。序盤からポゼッションを取っていたスパーズは、ファン・ヘッケ、ベンタンクール、トナーリを軸としたビルドアップがスムーズでした。マテウス・フェルナンデスをベンチに置いて、ベンタンクールをセンターに配したのは、攻守のバランスを重視したからでしょう。
12分のCKのクリアをネコ・ウィリアムズが頭で中央に送り、ムリーリョが左足で合わせると、キンスキーの頭上にアウト。ベンタンクールは速攻への対応が的確で、ミドルレンジのスペースを丁寧に埋めています。スパーズの最初の決定機は17分、FKのクリアからのカウンター。ペドロ・ポロのロングフィードを受けたマルムシュがネコ・ウィリアムズの背後を取りました。
右に持ち込んでクロスに放ったシュートは、ファーポストの外。スパーズの攻撃陣が単調に見えたのは、サイドに張るサヴィーニョとマティス・テルが、スタンドアローンになりがちなドリブラーだったからでしょう。2人合わせてドリブルでのチャレンジが16回もあり、8回は突破しているのですが、クロスもラストパスも味方に通らず、効果的とはいえませんでした。
連携が今ひとつでも「アイツがいてよかった」といわれたければ、レロイ・サネやジェレミー・ドクぐらいの爆発力が必要です。シュートもチャンスクリエイトもゼロだったコナー・ギャラガーは、トップ下よりインサイドか3列めではないでしょうか。前半のシュートが3本しかなかったのに、61分まで動かなかったデ・ゼルビ監督の采配も、勝てなかった理由のひとつでしょう。
時間が経つにつれてスパーズのプレスのラインは下がってしまい、フォレストの縦のチャレンジが増えていきました。43分にリアム・デラップのスルーパスで抜け出したギブス=ホワイトは、キンスキーと1対1になったのですが、左隅を狙ったフィニッシュを足で止められました。フラッグが上がっていたのですが、枠に収まっていればVARはゴールを認めたはずです。
後半立ち上がりの47分、ムリーリョをあっさり抜き去ったサヴィーニョは、工夫のないシュートをミレンコヴィッチにぶつけてしまいました。54分のマルムシュのFKは壁に当たり、波状攻撃からのファン・デ・フェンの2発は赤い壁が必死にブロック。ボールを奪ってからの前線へのフィードはスムーズになったのですが、サイドの連携不足という課題は解消されていません。
オンフィールドレビューの結果は、ハンドでゴール取り消し。トナーリがタッチした瞬間、右腕を前に出していなければ、胸に当たって決まっていたでしょう。失点を免れたスパーズは、71分のカウンターも活かせませんでした。キンスキーのロングフィードを受けたマルムシュは、カットインからジェームズ・マカティーをかわして放ったシュートを浮かしてしまいました。
右から上がってきたクドゥスはフリーで、パスを出さなかったストライカーを咎めています。74分にマティス・テルをムドリク、84分にコナー・ギャラガーとマルムシュをマテウス・フェルナンデスとソランケ。デ・ゼルビ監督の交代策は、すべて遅かったといわざるを得ません。88分のクドゥスのクロスを頭で合わせたソランケは、枠に収められませんでした。
プレーエリアを広げたトナーリと、先読みに長けたベンタンクールによって、ビルドアップやミドルシュートへの対応が安定したのは収穫といえます。問題はウインガーとSB、トップ下とストライカーの連携です。使われるタイプのサヴィーニョとマティス・テルを同時に起用すると、攻めのバリエーションが狭くなるので、マルムシュをサイドに配するなどの工夫が必要でしょう。
スパーズの補強は、攻撃力とパスワークにシフトした人選で、ファイターやハードマーカーがいないのが気になります。ジェド・スペンス、ロメロ、ダンソが去ってロバートソン、ファン・ヘッケ、セネシは、リードを守りたいときのクローザーを失っており、トナーリとマテウス・フェルナンデスは優秀なパサーですが、ジョアン・パリ―ニャがほしくなるシーンがありそうです。
アーセナルの最終ラインは、ルイス=スケリーを除く8人がCBもこなせるタイプで、接戦における守備は堅牢です。ペップのレガシーが残るマン・シティは、中盤でプレイできる選手をSBに配しており、ミドルサードでのせめぎ合いを制して戦える布陣を志向しています。対してスパーズのロバートソン、ウドジェ、ペドロ・ポロはアタックを強みとするSBです。
彼らをうまく動かさないと攻撃が単調になりがちで、背後を突かれるとCBの負担が激増します。アレクサンダー=アーノルドとロバートソンの脇にファビーニョ、ヘンダーソン、ワイナルドゥムを配したユルゲン・クロップのように、運動量と守備力があるMFにサポートさせなければ、カウンターやスルーパスからのピンチは減らないでしょう。
ジェームズ・マディソンやクルゼフスキが戻ってくれば、トップ下の問題は自ずと解決するのかもしれません。しかし、サイドの攻守のクオリティを高めるのは時間がかかりそうです。デ・ゼルビ監督は、早期に解決策を見出せるのでしょうか。次節のエヴァートンとのホームゲームでポイントを落とせば、アストン・ヴィラ戦とマンチェスター・ユナイテッド戦が必勝になります。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!




今シーズンの予算規模でポステコグルーさん、もしくはフランク・トーマスさんのときに、彼らの必要な選手を揃えたかたちを見てみたかったですね。両監督とも戦術的柔軟性に乏しかったのは確かですが、手元の選択肢がなかったために自ら信じるプランAに賭けるしかなかったという側面もあるので。
ただトゥドルさんも含め、ここ4シーズンすべての監督が「マディソン、クルゼフスキが戻ってくれば」というポイントに回帰するところに、根深い問題を感じます。