イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「トップリーグは18クラブ」「EFLカップ廃止」…リヴァプール発の改革案にプレミアリーグは猛反対!

プレミアリーグは18クラブ、コミュニティシールドとリーグカップは廃止、自動降格は2クラブでプレミアリーグ16位はプレーオフ参加、ビッグ6とエヴァートン。サウサンプトン、ウェストハムに特別ステータスを授与、EFLに対する2億5000万ポンドの即時補償、プレミアリーグが得る将来の収益の25%をEFLにフィード…。改革案の発案者はリヴァプールのオーナーのフェンウェイグループ。2017年に起案され、マンチェスター・ユナイテッドも賛同しているこのプランが、プレミアリーグ、FA、EFLを巻き込む議論のテーマとなっています。リヴァプールでCEOを務めていたEFLのリック・パリー会長は、「現在、EFLのクラブが直面している問題の多くを解決する」と支持を表明。まずは、その主張に耳を傾けてみましょう。

「これは、イングランドのピラミッドの長期的な未来をリセットする提案だ。すべてのクラブに長期的な持続可能性をもたらし、チャンピオンシップとプレミアリーグのギャップが狭まる。チャンピオンシップのなかで、大きな不均衡を生じさせていたパラシュートの支払いは廃止される。加えて、(財政が厳しい下部リーグに対する)即時救済の短期的なパッケージまで存在する」

「おそらく、プレミアリーグの創立以来最大のアイデアだろう。ゲームのバランスを是正し、あらゆる関係者に公平なシェアを提供したうえで、ピラミッドの経済的未来を確保している。われわれにとって非常に魅力的だ」

「テレグラフ」がリークし、「BBC」「スカイスポーツ」などのメディアが続々と報じた「Project Big Picture」のメッセージは、「資本主義を認めてくれれば、みなさんに恩恵がありますよ」ということです。プランが成立すれば、EFLには2億5000万ポンドの前払いがあり、FAには1億ポンドのギフトが届きます。その代わりに、現在はプレミアリーグ20クラブのうち14クラブの賛成がないとレギュレーション変更ができないというルールを廃止。「long-term shareholder status(長期株主ステータス)」を与えられた9クラブのうち、6クラブの賛同があれば、さまざまな変更案を可決することができるというわけです。

プランのキモとなる試合数の削減は、「収益性の低い試合を減らしたい」という趣旨でしょう。これを断行しようとすると、財源を奪われる下部リーグが反対するので、「プレミアリーグの収益からお金をまわすから、認めてほしい」と訴えているわけです。FAに対しては「イングランド代表の強化のための時間を確保できる」と提案。プレミアリーグには「ウインターブレイクの導入など過密スケジュールの緩和が可能となり、ゲームはよりエキサイティングになる」というメリットを伝えています。

表向きはいいことづくめですが、ビッグクラブが軒並み減収となる計画が、それだけでFIXするはずがありません。裏を読んだプレミアリーグは、真っ向から反対の意を表明しています。発表されたステートメントの全文を紹介しましょう。

「本日、この国のフットボールを再構築する計画に関するメディアの報道を見た。イングリッシュフットボールは世界で最も注目されている。活気に満ち溢れ、ダイナミックで競争力のあるリーグ構造があり、世界中の関心を集めている。このポジションを継続するためには、われわれ全員が協力することが重要だ。プレミアリーグもFAも、とりわけCOVID-19の影響に照らし合わせながら、競争環境、カレンダー、全体的な資金調達など、ゲームの将来に関する幅広い議論をサポートしている」

「フットボールには多くのステークホルダーがいる。よってこれらのワークは、すべてのクラブとステークホルダーが関わる機会を得たうえで、適切なチャネルにて実行する必要がある。プレミアリーグの見解は、本日発表されたプランに含まれる個別の提案の多くが、ゲーム全体に悪影響を与える可能性があるというものだ。EFLの会長であるリック・パリーが、彼にとって最大のサポートを提供するのを見て失望している」

「プレミアリーグは、クラブやEFLとの信義に基づいて、COVID-19のレスキュー資金という案件における解決策を模索している。この作業はこれからも継続される」

収益性の低い試合を削減してスケジュールを調整し、欧州スーパーリーグのような儲かる試合を組み込もうとするビッグクラブに対して、プレミアリーグは「多くのクラブが利益を得る仕組みを維持しなければ、全体の繁栄は実現しない」と反論しているという構図です。イギリスのデジタル・カルチャー・メディア・スポーツ省も、「最上部にクローズドショップを作ろうとしており、持続性とフェアな競争環境を損なう可能性がある」とプランを批判。資本主義と民主主義のせめぎ合いが、双方納得の落としどころを見出すまでに、しばらく時間がかかりそうです。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“「トップリーグは18クラブ」「EFLカップ廃止」…リヴァプール発の改革案にプレミアリーグは猛反対!” への2件のフィードバック

  1. より:

    いよいよですか,自然の流れでしょう
    プレミアだけ交代枠3、ベンチ枠7に戻った件,怒ったんだと思いますね
    で、uefaからcl取り上げて新いチャンピオンズリーグ作ると,top of topのリーグ戦が毎年10~12試合見られるのは皆心待ちにしてたのでは
    ついでに新ルールも先導するつもりでしょう,FAなんか待ってられないですからね

  2. 清水 瑛太 より:

    EFLは改革したほうがいいですね。日本でもJリーグ以外がいまいちパッとしない。特にルバンカップが、、
    格差が多いので、全体の不均衡是正の意味合いがあるのですかね?

コメントを残す