偏愛的プレミアリーグ見聞録

昨日の夕方、マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトをのぞいてみると、トップ画面に「SIGNING NEWS SOON」。クリックすると8秒の動画が流れ、顎から下しか映っていない男が赤いシャツを着ています。ラスト1秒、後ろを向いてシャツの襟を整えた彼の背には、「M」で始まる5文字の名前が…。

メディカルチェックを終えたと報じられ、間もなく正式なアナウンスがあるとわかっていても、サイトの映像やコンテンツを見ると盛り上がります。おお、Wikipediaは発表前にアップデート。ようこそ、メイソン・マウント！マンチェスター・ユナイテッドにとって、この夏最初の「DONE DEAL」です。

プレミアリーグデビューは2019年の夏。子どもの頃からのアイドルだったフランク・ランパードの信頼を勝ち取った20歳のMFは、プレミアリーグ37試合7ゴール6アシストという数字を残し、チェルシーのTOP4フィニッシュに貢献しました。2020-21シーズンのハイライトは、マン・シティとのCLファイナルでの決勝アシスト。初めてのトロフィーはビッグイヤーでした。

2021-22シーズンは、9節のノリッジ戦でハットトリックを達成し、プレミアリーグ32試合11ゴール10アシスト。チェルシーの顔となったアタッカーは、愛するクラブがあれほどの混乱に陥らなければ、すんなり契約を延長していたでしょう。彼が抱えていた不満は、年下の新戦力より安いサラリーだけではなかったはずです。

テン・ハフ監督がメイソン・マウントをほしがったのは、ベテラン揃いの現在の中盤にないものを持っているからです。前からのプレスと運動量、オフ・ザ・ボールのプレイのクオリティ、ファイナルサードのパスワーク、強烈なミドル。オランダ人指揮官は、エリクセンやブルーノ・フェルナンデスを休ませたり、8番を後方に下げたりすることができるようになるでしょう。

日本時間で7月5日19時20分。サイトの見出しが「UNITED SIGN MASON MOUNT」に変わりました。2028年までの5年契約。似合わないレッドのシャツも、開幕戦のキックオフでは既にフィットしているはずと信じましょう。

「育ったクラブを離れるのは簡単なことではないけど、マンチェスター・ユナイテッドは、キャリアの次のフェイズでエキサイティングな新しいチャレンジを与えてくれるだろう」

「エリック・テン・ハグ監督の下で、クラブが大きな前進を遂げたことは誰もが認めるところだ。監督と会って、プランについて話し合ったので、シーズンに向けてこれ以上ないほどワクワクしている。ここで期待されるハードワークへの準備もできている」

「メジャーなトロフィーを獲得するのがどれほど素晴らしいことか、そのために何が必要なのかを知っている。マンチェスター・ユナイテッドで再びそれを経験するために、すべてを捧げるつもりだ」

公式サイトに彼に関する記事が続々とUPされ、やがてTOPページを埋め尽くしました。背番号は、何と「7」。ジョージ・ベスト、ブライアン・ロブソン、エリック・カントナ、デヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドが背負った伝説のナンバーに、大きな期待が込められています。

チームとともに苦しんだ昨シーズンは、プレミアリーグ24試合3ゴール2アシストと振るわず。オールド・トラフォードで復活を期すイングランド代表は、2年前の輝きを取り戻すことができるでしょうか。シャツはもう買えるみたいですね。公式サイトの記事をひとつひとつ読みながら、2年前にも勢いで買った7番に手を出す衝動に駆られています。