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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ハーランドの夏の終わり。チャンスを逃さなかったベリンガムの連発で、イングランドが逆転勝利!

欧州、南米、アジアを問わず、メディアのなかには「フランスVSスペインは事実上の決勝戦」などという声があるようですが、「寝言をいえるのはあと10日です」と忠告させていただきます。それをいうなら、イングランドVSノルウェーです。今から、その根拠を挙げますので、「ルイ14世」「スペイン独立戦争」「ナポレオン」と騒いでいる方は、冷静に目を通してください。

そもそも、FIFAワールドカップ2026の予選で全勝の国は4つしかありません。イングランド、ノルウェー、モロッコ、ニュージーランド。それぞれのスタッツを見ると、最多ゴールはノルウェーの37発で、失点ゼロはイングランドだけです。ノルウェーはイタリアとの2戦で7ゴール!イングランドは…いや、彼らが「下馬評」で優勝候補に推されるべきであることが伝わればOKです。

すみません。賛同を得られないような気がしたので、マイアミの準々決勝は「私の最注目カード」に格下げしました。ハーランドVSマーク・グエイ&ジョン・ストーンズ、ウーデゴーアVSデクラン・ライス&ブカヨ・サカ。プレミアリーグのファンにとっては、盛り上がらざるを得ない一戦です。いよいよキックオフ。スリリングな撃ち合いを期待したのですが…。

ハリー・ケインのFKがクロスバーを越えていったのは29分。両チームを通じて最初のシュートが、この時間になるとは思いませんでした。ウーデゴーアとハーランドが並ぶ4‐4‐2のプレスは、イングランドのパスコースを確実に狭めています。ジョン・ストーンズが3人に囲まれた33分のピンチは、ハーランドの足元をかすめたボールを飛び出したピックフォードが回収しました。

ハーランドのヘッドがGKの正面に飛んだのは35分。ピックフォードのスローを受けたハリー・ケインがパトリック・ドルグに奪われて転倒するも、ホイッスルは鳴りませんでした。ウーデゴーアのパスを左でキープしたのはシェルドルップ。ハーランドに合わせようとした高速クロスが、ファーポストを叩いてネットを揺らしました。ここまでは完全に、ノルウェーのペースです。

1‐0のままでハーフタイムかと思われた追加タイム2分、左サイドでGKのキックをカットしたエリオット・アンダーソンは、前にいたアンソニー・ゴードンに預けました。無理に縦にいかなかったウインガーは、ボックス手前に入ってきたベリンガムにグラウンダーをフィード。左に回り込みながらヘッゲムをかわした10番の左足シュートが、GKニーランの足元を抜きました。

明らかに調子が悪そうだったデクラン・ライスは、ノニ・マドゥエケとともにハーフタイムでアウト。代わって入ったのはサカとエゼという「アーセナル一定の法則」が発動しました。イングランドの4-3-3は、中央に大きなスペースが空くシーンが目立っており、サイドで優位に立ったノルウェーがCKやクロスでチャンスを創り続けています。

55分のCKからヘッゲムが決めた勝ち越しゴールは、ウーデゴーアが蹴る直前にハーランドがエリオット・アンダーソンを押し倒したとして取り消しになりました。トゥヘル監督は、71分にアンソニー・ゴードンを下げてリース・ジェームズを投入。76分のCKに反応したピックフォードのパンチは小さく、アウルスネスのボレーが中央に入り、アイエルのヘッドがバーを叩きました

86分にはニコ・オライリーが下がり、ジェド・スペンス。3分後にコンサと代わったのは、モーガン・ロジャース。守備力を買われて抜擢されたジェド・スペンスは、91分にバックパスを追いかけてニーランのキックをカットしたのですが、ボールは枠にいきませんでした。延長戦に突入するまでのイングランドのオンターゲットは、ベリンガムのゴールと9番のミドルだけです。

延長前半の立ち上がりに猛攻を続けたイングランドは、ブカヨ・サカの仕掛けときわどいキックが目を引きます。93分にファーに入れたクロスをハリー・ケインが頭でプッシュすると、ニーランが指先で外に弾くビッグセーブ。ブラジル戦でブルーノ・ギマランイスのPKを止めた守護神は、93分のモーガン・ロジャースのミドルを前にこぼしてしまいました

詰めたベリンガムが左隅に押し込み、イングランドが逆転!99分に左サイドを突破したジェド・スペンスがオスカー・ボブに倒されますが、PKのジャッジはVARによって覆りました。最後に出した右足が、22番の進路を遮断するためと見做されたのでしょうか。延長に入ってからのノルウェーは、ボールを持たされたという表現がぴったりで、オンターゲットはゼロでした。

1-2でイングランドが勝ち切り、ロシア以来となるセミファイナル進出。ハーランドとウーデゴーアの熱い夏が終わりました。延長後半のピッチに姿を見せなかったゴールマシンは、もっと前にエネルギーを失っていたようです。シュートは2本、パス成功は5本、守備のアクションは2回のみ。マン・シティでともに戦ってきたマーク・グエイとジョン・ストーンズの完勝でした。

トータル6ゴールとなったベリンガムを称えつつも、デクラン・ライスがいかに重要かを思い知らされた一戦というほうがしっくりきます。イングランドがトロフィーを手に入れたければ、アルゼンチン戦はベリンガムを1列下げて耐え抜き、ハムストリングと腰の痛みに悩まされているアーセナルのコントロールタワーは、ファイナルに備えさせたほうがいいのではないでしょうか。

フランスやスペインと比べると中盤の層が薄く、戦術的な選択肢と流動性が乏しいので、ベストメンバーが最高のコンディションで戦えないと、優勝候補には勝てないでしょう。アルゼンチンが延長戦でスイスを振り切り、ベスト4が出揃いましたが、事実上の決勝戦を制するのはフランスか、スペインか…?(ジュード・ベリンガム 写真著作者/Bryan Berlin)


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