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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アル・ヒラルとの交渉は合意間近。ガブリエウ・マルティネッリに思うこと。

「アル・ヒラルは、アーセナルのウインガー、ガブリエウ・マルティネッリの獲得をめざして交渉を進めている。サウジプロリーグのクラブは、25歳のブラジル代表の代理人とも話している。アーセナルは移籍金として6000万ポンド前後を求めており、合意には至っていないものの、交渉は継続中。本人も移籍に前向きな姿勢を示している」(デヴィッド・オーンスタイン)

もうそろそろ、覚悟を決めなければならないようです。ファブリツィオ・ロマーノさんは、「クラブ間合意に向けて、問題はない」とポスト。「BBC」のサミ・モクベル記者も、「最終段階の交渉に入っており、合意は間近に迫っている」とレポートしています。おそらく移籍金は、5500万ポンド程度で着地するでしょう。彼がイエスといえば、決まりです。

2019年10月19日、ノースロンドンで開催されたヨーロッパリーグ。スタンダール・リェージュ戦で指揮を執っていたのはウナイ・エメリでした。左からのクロスをファーのサイドネットに決めた鋭いヘッダーと、ノーステップで右隅に決めた一撃を見て、ガブリエウ・マルティネッリに魅了されました。当時は18歳。近い将来、ロベルト・バッジョのようになるのだと思いました。

あれから7年が過ぎようとしています。私のなかでマルティネッリは、ずっと特別な存在でした。マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスや、リヴァプールのヴィルジル・ファン・ダイクに「このクラブでスパイクを脱いでほしい」といった思いを抱いたように、アーセナルのレジェンドになってほしいと願い続けていました。

ブラジルのイトゥアーノからノースロンドンに渡り、デビューシーズンは公式戦26試合10ゴール3アシスト。ブレイクしたのは、ミケル・アルテタ監督の下で初めてチャンピオンズリーグの出場権を獲得した2022-23シーズンでした。プレミアリーグ36試合15ゴール6アシスト。シーズン15発は、ブラジル人選手のリーグレコードです。

最強のウインガーコンビを育てた指揮官を称えた「テレグラフ」のサム・ディーン記者のレポートを紹介したとき、最後にこんな一文を添えました。「サカとマルティネッリには、『いい監督に出会えてよかったですね。悪いことはいわないから、ずっとそこにいなさい』と伝えたくなります」。サラーとマネのように、クラブの黄金時代の象徴になると思ったのですが…。

マルティネッリはなぜ、失速してしまったのか。最大の理由は戦術の変化ではないでしょうか。秀逸なパサーだった偽SBのジンチェンコと、運動量が豊富なジャカがいた頃は、カットインからのフィニッシュが冴えていました。しかし近年は、獰猛にゴールに向かうカラフィオーリやデクラン・ライスとの連携のなかで、ワイドなポジションを求められるシーンが増えています。

ゴールが遠くなったウインガーは、縦に勝負する単調なドリブルが目立つようになり、守備における貢献を評価される選手になりました。2025-26シーズンのプレミアリーグは、30試合1ゴール4アシスト。CLのグループステージで5試合連続ゴールという結果を残せたのは、ローブロックのチームが存在せず、カットインやカウンターのタイミングを図りやすかったからでしょう。

サカとウーデゴーアとともにゴールを量産したマルティネッリは、ティエリ・アンリやロビン・ファン・ペルシのように、いずれセンターにコンバートされて猛威を振るうと信じていました。偽9番やセカンドストライカーとして活躍する姿を見たかったのですが、アルテタ監督の戦術にその役割はありません。それでもアーセナルが、彼を不要とする日が来るとは思いませんでした。

ガラタサライから3840万ポンドのオファーがあったとき、既に売却が既定路線だったのでしょう。トップリーグでのプレイにこだわり、断ったと伝えられたマルティネッリは、コミュニティシールドのメンバーから外れたとき、未来を悲観したのではないかと思います。ヴィニシウス・ジュニオールが来なくても、出場機会を得られないだろう、と。

アーセナルにしてみれば、アトレティコ・マドリードとの獲得交渉がどうなろうとも、アル・ヒラルからの5000万ポンドを超えるオファーは断れないでしょう。マルティネッリとの契約は2027年まで。12ヵ月の延長オプションがあっても、このチャンスをスルーしたら売却の難易度は確実に高まります。新戦力を獲得できなければ、エゼが左サイドにまわり、ヌワネリの出番が増えるのでしょう。

ノースロンドンを愛し続けたウインガーは、278試合62ゴール36アシストでピリオドを打とうとしています。新たなアタッカーが、バルセロナへの未練を断ち切れない選手ではないことを祈るばかりです。今のガナーズの強みは、全員が「ここでプレイしたい」という思いを抱いていることでしょう。マルティネッリの後釜という重い役割にふさわしい選手の到来を願っています。

悲しい瞬間が、目前に迫っています。ビッグタイトルを獲得したクラブが世界一をめざすなら、避けて通れない決断なのだと自分に言い聞かせるしかありません。


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