イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

最後の大舞台で復活できず…先発から外れたクリスティアーノ・ロナウドの苦闘を振り返る。

「最初の瞬間から今まで、彼にいてほしかった。しかし、去りたがっていたのは明らかだった。選手がクラブにいたいと思えないなら、出ていかなければならない。あのインタビューで、初めて彼は去りたいといった。クラブとして、受け入れることはできないだろう。その一歩を踏み出した彼は、結果をわかっていたはずだ。彼は私には一度もいわなかった」

「夏に1回だけ話した。『7日後に、残りたいかどうか伝える』といわれた。その後、彼は戻ってきて、『ここにいたい』といった。それから、あのときまで何も聞いていない。われわれのプロジェクトに参加してもらい、マンチェスター・ユナイテッドに貢献してもらいたかった。素晴らしい選手だからね」

「いい状態なら、グッドプレーヤーだ。私たちの復活と目標達成を助けてくれるだろう。それは、はっきりしている。でも彼は、そういう状態ではなかった」

マンチェスター・ユナイテッドのエリック・テン・ハフ監督が、ロナウドを先発で起用しなかった試合について、「コンディションに問題があった」と明言しています。プレミアリーグ2022-23シーズンは10試合1ゴール。彼が先発した4試合は1勝1分2敗で、チームは2ゴールしか決めていません。

ワールドカップカタール大会でポルトガルを率いたフェルナンド・サントス監督も、マン・ユナイテッドのマネージャーと同じ決断をしました。グループステージは全試合先発だった7番をスイス戦で外し、モロッコ戦でもゴンサロ・ラモスを優先しました。準々決勝の試合前会見で、ロナウドとの関係について問われた指揮官は、本人との会話は問題なかったと答えています。

「彼はキャプテンであり、ポルトガルサッカー界、ポルトガル国民とチームを代表する存在である以上、当然、話をする必要があった。言葉を交わしたのは試合当日、昼食の後だった。その日の会話は、そのときだけ。私は彼を先発で起用しない理由を説明した」

「チーム戦略上、ベターなのだと伝えた。後半、必要になったときのために温存するつもりだ、と。当然ながら、クリスティアーノにとっては喜ばしいことではない。いつも先発で出場しているのだから。彼は、本当にそれがいいと思っているのかといった。私は見解を述べ、彼は受け入れた。フランクかつノーマルな会話だった」

最後のワールドカップに臨んだエースは、やはりトップフォームではなかったようです。5試合のパフォーマンスを振り返ってみましょう。ガーナ戦はシュート4本でオンターゲット2本、先制のPKを蹴っています。チャンスを2回逃したものの、その後に期待を抱かせるまずまずのスタートでした。

2-0完勝のウルグアイ戦は、シュート3本を枠に飛ばせなかったものの、チャンスクリエイト3回を記録しています。初戦と合わせて、5回の空中戦は全勝。ブルーノ・フェルナンデスの先制ゴールは、ゴール前でジャンプしたロナウドの頭をかすめたクロスが、そのまま枠に飛び込んだものでした。

問題は1-2で負けた韓国戦で、シュート2本以外に何もできず。CKの守備で、飛んできたボールをよけてしまい、こぼれ球を決められる原因となってしまいました。ノックアウトラウンドの戦い方をシミュレーションした指揮官は、チャンスを活かせず守備の貢献度も低かったエースを、そのままにしておけなかったのだと思われます。

6-1で勝ったスイス戦は、74分からの途中出場で、タッチ7回&シュート1本。フェルナンド・サントス監督は、ハットトリックを達成したゴンサロ・ラモスを見て、自らの判断が間違っていなかったと思ったのでしょう。モロッコ戦も、7番はベンチスタートでした。

出番が来たのは、1-0でリードされていた51分。最前線に入ったエースは、ボールタッチ10回と枠内1本という微妙な数字を残し、5回めのワールドカップを終えました。PKを除くと、オンターゲットは5試合で2本のみ。母国の英雄をスーパーサブとした指揮官の決断は、暴挙とはいえないでしょう。

ワールドカップにおける通算8ゴールのうち5ゴールは、イラン、北朝鮮、ガーナ、モロッコ、ガーナと格下のチーム。強豪相手に真価を発揮したのは、ハットトリックを決めた2018年のスペイン戦のみです。4回のノックアウトラウンドでは、結局ノーゴール。優勝と準優勝を遂げ、大会最多となる通算11ゴールをゲットしたユーロに対して、ワールドカップは苦い思い出が多いステージでした。

37歳のベテランストライカーにとって、2022年はコンディションが整わなかった年なのか、急激に衰えてしまった年なのか。少なくともいえるのは、「彼自身の認識と監督の評価が揃わなかった年」だったということです。スタジアムのトンネルのなかで、涙を拭い続けたクリスティアーノ・ロナウドは、今でもワールドクラスであることを証明するためのクラブを探さなければなりません。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す