2026.07.02 FIFAワールドカップ2026北中米大会FIFAワールドカップ
ハリー・ケインの連発で逆転!苦しい試合が続くイングランドに足りないのは…?
コンゴ民主共和国、通称DRコンゴがアフリカで2番めに大きな国であることを知らなくても、ワン=ビサカ、トゥアンゼベ、マスアク、サディキ、ウィサは全員わかるというプレミアリーグファンもいるでしょう。北中米の大会で優勝候補と目されているイングランドは、FIFAランキング46位の格下のチームに足をすくわれるわけにはいきません。
しかし前半は、強豪といわれる集団がアップセットを許す典型のような展開でした。28分に右サイドからFKを蹴ったのはデクラン・ライス。低い弾道のボールがハリー・ケインの背後を通ってコンサの膝にヒットすると、右のポストをかすめてゴールラインの向こう側に落下しました。2分後、デクラン・ライスの完璧なクロスをヘッドで合わせたのは、好調のベリンガムでした。
GKの右を狙ったフィニッシュをムパシのビッグセーブに阻まれた10番は、追加タイムのノニ・マドゥエケのクロスを叩いたダイビングヘッドも外に弾き出されています。DRコンゴがリードを守り切っていたら、血気盛んなファンに戦犯扱いをされていたかもしれません。前半のターニングポイントは、彼の決定的なヘッダーだけではなく、ラスト5分の濃密な攻防でした。
42分に右からスプリントしたワン=ビサカが、ダイレクトで入れたクロスがウィサの足元へ。ピックフォードの目の前でタップしたストライカーは、ボールが右のポストに当たった瞬間、頭を抱えました。直後にベリンガムの素晴らしいスルーパスでボックス右に侵入したハリー・ケインは、飛び出したムパシと接触するも、ペナルティを取ってもらえませんでした。
前半のラストチャンスは、デクラン・ライスが右からファーに落としたCK。ハリー・ケインの強烈なボレーは、大当たりのGKが足でブロックしました。ハーフタイムまでのポゼッションは59%対41%、シュートは8対3、オンターゲットは4対1。日本に苦しめられたブラジルは68%対32%で、フィニッシュは8対4という近い数字でした。
後半の最初の決定機は51分、左からカットインしたラシュフォード。ムベンバをかわして打った左足のシュートは、ニアポストの脇を抜けていきました。53分のベリンガムの高速クロスは、ディフレクションで逆を取られたムパシがパンチで逃れ、ノニ・マドゥエケのクロスに走り込んだラシュフォードのヘッドは浮いてしまいました。
トーマス・トゥヘル監督は、ラインを上げてサイドで数的優位を築いたアンチェロッティのようなアイデアを求められています。60分にノニ・マドゥエケとラシュフォードを下げ、ブカヨ・サカとアンソニー・ゴードン。シュートチャンスを創れないまま時間が経ち、70分にはジェド・スペンスをエベレチ・エゼという攻撃的な戦術変更を敢行しました。
右サイドに出たエゼが、ボックスに入ったデクラン・ライスにつないだのは74分。ファーに上がったクロスを足元に収めたアンソニー・ゴードンは、緩い浮き球を中央に入れました。頭で合わせたのはハリー・ケイン。右手を伸ばしたムパシは弾き切れず、イングランドがようやく同点に追いつきました。手応えをつかんだ強者が攻勢を強めるのは、フットボールの常識です。
79分のエリオット・アンダーソンのミドルは、クロスバーの上。マンチェスター・シティへの移籍を決断した8番は、86分に素晴らしいスルーパスでベリンガムをボックス左に走らせました。左足のシュートは、GKが胸でストップ。こぼれ球を拾って中央にまわり込んだアンソニー・ゴードンが縦パスを通すと、ドリブルで右に出たハリー・ケインの鋭い一撃がニアに決まりました。
2-1で勝ったのは、FIFAランキング4位のスリーライオンズ。エースの代表通算84発めは、母国を窮地から救い出す貴重なゴールでした。日本代表が大会を終えた今、フットボールの母国の悲願成就を期待しているのですが、キリアン・ムバッペ、マイケル・オリース、ウズマン・デンベレを擁する最強チームに勝つ姿はイメージできません。
ガレス・サウスゲートというモチベーターを戦術家のトゥヘルにチェンジしたとき、母国のみなさんは多大な希望を抱いたのではないかと思われます。しかし現状は…。「ベリンガムが決定機を活かしていれば、ラクに勝てていた」と考え、引いた相手に対する攻撃のバリエーションは増えたとポジティブに捉えていいのか。圧勝なきラウンド16進出は、消化不良感が残ります。
すべての試合を3ゴール以上で終えているフランスとの明確な違いは、ウインガーの得点力です。ブカヨ・サカは覚醒するのか。アンソニー・ゴードンは今回の2アシストで覚醒するのか。ラシュフォードは無双状態に突入できるのか。前線の流動性を高められなければ、いつものイングランドで終わりそうです。積年の課題を解決しきれずにいるのは、日本代表だけではありません。
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