2026.07.19 FIFAワールドカップ2026北中米大会FIFAワールドカップ
3位決定戦らしい爽快な殴り合いは6ゴールの圧勝…夢破れたイングランドに足りなかったもの。
ワールドカップの3位決定戦は、モチベーションとエネルギーの残量が多いほうが勝つゲームといっていいでしょう。サリバがリタイアしたフランスは、ラクロワとコナテのコンビを最終ラインに据えており、ウスマン・デンベレとウパメカノはベンチスタートです。イングランドもハリー・ケイン、ベリンガム、エリオット・アンダーソンがピッチの外で戦況を見守っています。
7分のサカのクロスをファーで受けたラシュフォードは、右足のワントラップボレーをマロ・グストにブロックされました。直線的なアタックの応酬で、11分までにシュート6本を記録しており、殴り合いになりそうな展開です。エゼのスルーパスで、サカが右から抜け出したのは18分。ラクロワが必死に戻り、切り返しからのシュートを足に当てました。
デクラン・ライスのCKは中央のコンサの頭にぴったりで、まさかの2-0。アドリアン・ラビオは、あっさり振り切られてしまいました。33分のラシュフォードのロングシュートは、メニャンが右に飛んで何とかセーブ。2分後、左からカットインしたムバッペの決定的な一撃は、ディーン・ヘンダーソンが冷静にコースを見極め、左に弾き出しています。
イングランドの3点めは36分、美しいカウンター。シェルキのクロスをディーン・ヘンダーソンが弾き、競り合ったボールがサカの足元に転がった瞬間、コナテは止まってしまいました。鋭いスルーパスが左に出て、ラシュフォードがメニャンと1対1。GKがシュートを弾いた後、こぼれ球を拾ったサカの一撃はラクロワがカットしたのですが、左右のウインガーは両方ともフリーです。
GKをかわしてゴールライン際に出たラシュフォードがニアに転がし、サカがプッシュ。このまま終わるかと思われた追加タイム1分、縦パスを受けたエゼがきれいなターンでザイール・エメリをかわし、前線に完璧なラストパスを送りました。右から流れてきたサカが右隅に決めて4-0。ラストマッチのデシャン監督は、険しい顔をしています。
ハーフタイムのフランスのロッカールームは、恐ろしい空間となっていたはずです。ウパメカノ、ディーニュ、バルコラ、ウスマン・デンベレが入った後半は、別なチームになりました。マイケル・オリースのスルーパスをムバッペが右に流し込んだのは48分。ムバッペの縦のスルーパスでクアンサーの背後を取ったバルコラが、左隅に叩き込んだのは54分でした。
66分にマイケル・オリースとのワンツーからムバッペが左足で決めたときは、フランスが逆転で勝つのではないかとテンションが上がりました。トゥヘル監督は、79分にイヴァン・トニーとエゼを下げ、エリオット・アンダーソンとベリンガムを投入。5バックで守り切る策ではなかったことに、胸をなでおろした母国のサポーターもいるでしょう。
90分を過ぎて5-3なら、フツーは勝負ありでしょう。しかし、あまりにも楽しかったこの試合は、最後までどちらが勝つかわかりませんでした。縦のボールをインターセプトしたウパメカノが、右サイドのウスマン・デンベレに預けたのは96分。ミスパスを出したデクラン・ライスが棒立ちになり、CBに追い抜かれるシーンは、アーセナルでは見られない貴重映像です。
得意のボックス右からのシュートが、ファーのサイドネットに突き刺さって5-4。なおも攻めるフランスは、罰ゲームを30分も延長させるつもりでしょうか。7分の追加タイムが終わる寸前に、ハーフライン付近でこぼれ球を拾ったのはベリンガム。単独でカウンターを仕掛けた10番は、ボックス左から切り返しでラクロワを抜き去り、ハーランドに並ぶ7発めをゲットしました。
ブロンズのメダルを首にかけた白いシャツの集団は、トロフィーを抱えておらず、間違い探しのような画像の撮影が終わりました。コビー・メイヌーはピッチの感触を得ることなく、大会を終えています。アダム・ウォートンがいれば、デクラン・ライスのコンディションを上げられたのか。コール・パルマーは、右サイドでゲームチェンジャーになれたのか。
壇上から降りてスタンドに拍手を送るハリー・ケインを見ながら、アルゼンチン戦の悪夢のような31分のダメージが、ワインの澱のごとく心の奥底に沈殿しているのを意識しました。トーマス・トゥヘルという素晴らしい戦術家を招聘して、60年ぶりの戴冠をめざしたイングランドに勝ってほしかったのです。ロープを背負って殴り続けられながら、残り5分までリードしていた…。
今回のイングランドは、総力戦で勝てるスカッドではなかったのでしょう。ハリー・ケイン、ベリンガム、サカ、デクラン・ライス、エリオット・アンダーソンは代えが効かず、レベルを落とさず戦えるバックアッパーも、劣勢を打開できるスーパーサブもいませんでした。戦術の引き出しを増やせなかった指揮官にとって、1年9ヵ月という準備期間は短すぎたのかもしれません。
それでもイングランドは、母国開催で優勝した1966年以来、最高のポジションで大会を終えました。最後の試合が明るい殴り合いでよかったと思いつつ、モチベーションが低いチームの最後の砦となったラクロワに、「心身ともに大変でしたね。おつかれさま」といいたくなります。ファイナルはアルゼンチンとスペイン。どちらが勝っても、その偉業を心から称えたいと思います。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!




コメントを残す