イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

惜しかった、でも勝てなかった。ワールドカップの日本代表を巡るさまざまな声に思うこと。

「グループステージの日本は、好感の持てるチームだった。エゴのないエキサイティングなフットボールを展開し、いい印象を残した。彼らは非常に高く評価されており、多くの人々がラスト32でブラジルを苦しめるだろうと予想していた。そして実際に、ミッドフィールダーの佐野海舟のゴールでリードを奪った」

「ブラジルは日本に負けないエネルギーを発揮し、圧倒的な攻撃陣の能力によって、アディショナルタイムの決勝ゴールで勝利を収めた。トーナメントが始まる前や期間中に、三笘薫、久保建英、遠藤航が負傷していなければ、日本代表はどのような結果を残せたのだろうか」(ティム・スピアーズ、エドゥアルド・タンスリー、エリアス・バーク、ニック・ミラー/アスレティック)

FIFAワールドカップ2026がスペインの優勝で幕を閉じ、世界じゅうのメディアが大会を総括する記事を配信しています。「戦績に基づいて48ヵ国をランキング」と題した「アスレティック」のレポートは、イングランドをフランスに次ぐ4位と評価し、日本は20位となっています。上にいるのはブラジル、ポルトガル、オランダ、ドイツで、妥当なポジションでしょう。

下を見ると、クロアチア、スウェーデン、エクアドル、ガーナ、オーストリア。2010年以降の日本は、欧州の中堅国やアフリカとは互角に戦えるものの、優勝経験がある強豪国には「弱者の戦術で苦しめてどうなるか」という立ち位置なのだと思われます。アジアで最も成功した国ではありながら、ベスト8の壁は厚いと認めざるを得ません。オーストラリアも、同じ壁に苦しめられています。

そんななかで、日本のSNSや専門メディアを見ていて気になるのは、「森保擁護派」「森保解任派」といった二択の激烈なバトルが目立つことです。オランダ戦の戦術的な押し引き、チュニジア戦のゴールラッシュ、スウェーデン戦の着地を見据えた戦い方を見て「強くなったな、日本」と思ったのですが、そんなことはSNSでは怖くていえません。

「森保無能」「戦術ゼロ」という厳しい批判(あるいは非難)は、サッカーのおもしろさを感じ始めたばかりの新しいファンをドン引きさせるだけでしょう。異なる意見に耳を貸さず、些細なことでも自説の補強に持ち込む「信者」「アンチ」となると、意見交換をする意味がなくなります。フラットに話ができる場があればと思い、探したのですが、まだ出会えていません。

セルジオ越後さんは、小学生の頃にサッカーの楽しさを直接教えてくれた恩人で、日本のサッカーを愛してくれているのは理解しています。それでも、厳しいコメントに触れると、ひとこといいたくなります。「このままじゃ優勝は一生無理」「感動をありがとうはもう要らない」といった感情的な批判は、今やミスリードにつながるリスクが大きいのではないでしょうか。

日本が初めてワールドカップに出場した1990年代は情報が少なく、世界のトップクラスと日本の差を可視化する手段はありませんでした。当時は、専門家の視点からの「浮かれるな」「厳しさが足りない」といった指摘は貴重だったのだと思います。しかし今は、リアルタイムでさまざまな情報が得られるようになっており、監督もスタッフも選手もファンも、厳しさをを心得ています

私はイングランドと日本のメディアしか知らないのですが、60年ぶりの優勝をめざしていたフットボールの母国も、トゥヘル監督の守備的な采配に対する激しい批判ばかりではありません。フラットな分析レポートや、おもしろいエピソードを集めた記事は読み応えがあります。ネガティブな情報で埋め尽くすと、いずれ読まれなくなり、沸点が低いマニアばかりが棲み付くタコツボ化するのがわかっているのでしょう。

スペインやイングランドと日本の最大の違いは、フットボールのシェアなのではないでしょうか。ワールドカップに熱狂しつつ、スポーツメディアを見ると、「みんな、大谷翔平が好きだもんなぁ」「バレーボール男子のネーションズリーグは全勝で首位か」「プロ野球も相撲もあるしなぁ」と思います。わが国はスポーツが多様なだけでなく、アニメ大国・ゲーム大国でもあります。

そんな状況下で、海外のフットボールやJリーグの魅力を伝えるなら、ポジティブな雰囲気と話題にしたくなるおもしろいテーマが必要でしょう。大会が終わったばかりの今は、「感動した」「凄かった」「悔しい」「モヤモヤする」といったさまざまな声があっていいでしょう。「海外は負けると厳しく非難する。日本もそうあるべき」といった昔ながらの話は、エントリーの方々にはハードルになる可能性があります。

「JFAは総括するべき」「説明責任がある」という声もあるようですが、半年後でいいでしょう。年が明ける頃に、FIFAワールドカップ2026のテクニカルレポートが販売されるはずです。ジャーナリストの方々には、これを読み込んだうえでポジティブかつ具体的な提言をしていただければと願っています。森保監督の好き嫌いや乱暴な是非論を超えた有意義な発信があれば、話題になるでしょう。

JFAは批判の対象になりやすい組織ですが、「JFAの目標2050」でヴィジョンを掲げ、成長戦略や中期の目標を明確にしています。これ自体に不足や問題があれば、大いに議論すべしと思いますが、ベースをふまえず「日本の将来が見えない」といった批判をするとファンを不安にさせるだけです。専門家のみなさんに求められるのは、「もっとよくするアイデア」でしょう。

三笘、南野、遠藤の活躍を妄想していた私にとっては、悔しいワールドカップでした。ラウンド32がフランス、モロッコ、ブラジルの三択で、ブラジルを引くと中3日は、これぞ「死のグループ」。3週間経った今でも、54分のカウンターで後ろから走り込んできた鎌田に中村がラストパスを出す夢を見ます。惜しかった、でも勝てなかった。監督交代はありですが、誰もが納得する人物は存在しないのでしょうね…。


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“惜しかった、でも勝てなかった。ワールドカップの日本代表を巡るさまざまな声に思うこと。” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    いつも陰ながら楽しく拝読しております。
    気付けばファン・ハール監督が指揮を執っていた頃以来、おそらく10年ぶりくらいにコメントを残させていただきます。

    ​敗戦後の過剰な批判やバッシングにモヤモヤしていたのですが、記事を読んで頭が非常にスッキリしました。日本においても「建設的な提言」を発信し続けるための文化、土壌づくりを我々フットボールファンも少しずつ意識していきたいですよね。

  2. アイク より:

    仰る通りです。今回の大会がこのスポーツのますますの発展に繋がって欲しいですね。
    ライトファンも置き去りにしないフラットで大きなフットボール愛が、さすがです。私自身こちらのブログを通して、プレミアの面白さを知りました。微力ながら、これからも応援させていただきます。

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